過去最高ペースで推移、サンティアゴ国際空港の利用者数

(チリ)

調査部米州課

2025年07月22日

チリのサンティアゴ国際空港(注1)を運営する合弁企業ヌエボ・プダウェル(以下、NP)は7月17日、2025年上半期の同空港利用者数は1,340万4,745人(前年同期比4.8%増)で、上半期として過去最高を更新したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同空港の年間利用者数は、2024年に過去最高の2,580万人に達しているが、2025年下半期も上半期同様のペースが維持されれば、記録の更新が見込まれる。

NPの代表者によれば、近年、サンティアゴと南米の各都市を行き来する乗客が増加傾向にあることに伴い、各航空会社が提供する座席数も増加している。特にアルゼンチン、ブラジルとの間でその傾向は顕著で、ショッピングやウインタースポーツを目的とした両国からチリへの旅行者が多い。実際のところ、チリ観光庁のデータ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2024年にチリに空路で入国した観光客(注2)は232万8,797人で、国籍別の内訳では、ブラジル人(68万6,622人、全体の29.5%)とアルゼンチン人(31万6,440人、同13.6%)がトップ2を占めている。

空港内の施設や、関連のインフラ整備が進む

2025年に入ってからのNPのリリースを振り返ると、サンティアゴ国際空港の利便性向上のための取り組みが進行している様子がうかがえる。5月には、次の2つの施策がそれぞれアナウンスされた。

  • ターミナル1・2にまたがる4,940平方メートルスペースに、飲食店・小売店などの計41店舗を2025年内に新たにオープンする。
  • 空港から市内へ移動する際のタクシー移動に関連して、GPSに基づき、目的地までの所要時間や距離を計算し、運賃の事前支払いを可能にするシステムを導入する(注3)。

さらに6月には、首都圏州内を運行する地下鉄の拡張工事により、空港へのアクセスが可能な新路線が敷設される旨が発表された(注4)。

スカイトラックスが全世界の空港を対象に実施した最新のレーティング調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、サンティアゴ国際空港は、中南米の中でコロンビアのエル・ドラド国際空港(40位)、エクアドルのマリスカル・スクレ国際空港(64位)に次ぐ98位にランクインしている(注5)。

(注1)アルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港とも呼ばれる。

(注2)陸路も含めると、チリに入国した観光客数は523万9,233人で、国籍別内訳はアルゼンチン人(208万8,389人、全体の39.9%)、ブラジル人(78万7,036人、同15.0%)の順となる。

(注3)空港内のカウンターで手配が可能なバンによる送迎サービスを利用する場合には、乗車前に運賃の支払いが可能。これまでタクシー利用の際は、メーターに基づいて降車時に運賃を支払うのが一般的だったが、法外な料金を請求されるなどのトラブルが時折発生していた。

(注4)6月1日に実施されたガブリエル・ボリッチ大統領による教書演説の中でも言及された。

(注5)1位は、シンガポールのチャンギ国際空港。日本からは、羽田空港(3位)、成田空港(5位)、中部国際空港(17位)などがランクインした。

(佐藤竣平)

(チリ)

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