ペルー大統領、所信表明で経済安定性と民主主義の推進者としての役割強調

(ペルー)

リマ発

2025年07月29日

ペルーのディナ・ボルアルテ大統領は独立記念日の7月28日に所信表明演説を行った。演説で大統領は、国際情勢の変化や世界的な物価上昇、2023年に発生したエルニーニョ現象にもかかわらず、政府と国民の努力でペルーは困難を乗り越え、企業投資、GDP、雇用、インフレ、為替などのいずれも、南米諸国と比較して安定的に推移していると述べた。現任期の最後となる今回の演説は4時間にわたり、これまでの実績を強調するとともに、国際社会で民主主義の推進者としてペルーが果たした役割を示した。

今後の経済成長への対策では、規制緩和を進め、公共・民間投資を加速させる方針を示すとともに、インフォーマルな労働者の削減を目指すため、正規雇用化国家戦略を策定することを明らかにした。

鉱業分野では、2024年の輸出額が約500億ドルに達し、2025年1月から4月にかけての輸出額も前年同期比22.7%増と好調で、鉱業が税収拡大、雇用、地域振興に大きく貢献していると説明した。2024年の鉱業分野関連の正規雇用者は24万人に達しているという。鉱業が好調な背景として、2年半のボルアルテ政権下で、関係者との対話と透明性確保を重視したことにより、134億ドルを超える鉱業案件の投資プロジェクトを承認したことを挙げた。

また、非合法鉱業の合法化を促進することを目的とする鉱業合法化統合登録(REINFO)制度の見直し(2025年7月1日記事参照)について、7月14日に鉱業合法化の技術的検討会を立ち上げ、新制度の方向性を検討すると説明した。検討会はエネルギー鉱山省(MINEM)などの関係省庁、独立国家機関の国民保護局、ペルー鉱業・石油・エネルギー協会(SNMPE)、ペルー鉱業技師協会(IIMP)、全国小規模零細鉱業連盟(CONFEMIN)、全国零細鉱業従事者連盟(FENAMARPE)などで構成する。

外交面では、世界秩序の流動化が急激に進む中、ペルーは近隣諸国レベル、地域レベル、世界レベルで関係構築を図り、民主主義の推進者としての役割を果たしたと述べ、2024年はAPEC議長国として政治的コンセンサスを得ることに成功したと強調した。

(石田達也)

(ペルー)

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