イランの対アフリカ輸出額が過去最高記録、最高指導者も関係強化の必要性強調

(イラン、アフリカ)

テヘラン発

2025年07月23日

イランのイスラーム共和国通信(IRNA)は7月15日、イラン暦1404年第1四半期(2025年3月21日~6月21日)のイランのアフリカへの輸出額が過去最高を記録したと報じた。IRNAによると、輸出入ともに大幅に増加しており、特にイランからの輸出額は前年同期比85%増加した。

IRNAは貿易振興庁(TPO)のアフリカ部門責任者のムハンマド・レザ・サファリ氏のコメントを報じた。同氏によると、同四半期にアフリカの輸出相手国が27カ国から32カ国に増加し、対アフリカ貿易の黒字額も前年同期比で2.1倍になったという。同氏は、エネルギーや輸送費の高騰、米国によるアフリカ諸国への新たな関税という昨今の状況を踏まえると、今後のアフリカ諸国との貿易促進のためには、高付加価値製品の輸出とアフリカ諸国での現地生産に向けた投資が必要とし、中国が長年この戦略をとっていることも強調した。同氏によると、イランは現在13億ドル規模のアフリカ諸国との貿易を2025年までに30億~50億ドルに増やすとしている(7月15日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

なお、グローバル・トレード・アトラスの統計によると、イランはアフリカ諸国へ主に「鉱物性燃料および鉱物油ならびにこれらの蒸留物」「野菜、果実、ナッツその他植物」「食用の果実およびナッツ、かんきつ類」を輸出している。

近年、湾岸協力会議(GCC)諸国を中心に、中東諸国とアフリカ諸国との関係性は深まっており(2025年4月11日付地域・分析レポート参照)、イランもアフリカ諸国と連携を進めている。例えば、2025年4月にイランの首都テヘランで第3回イラン・アフリカ経済協力会議が開催され、アフリカ50カ国以上の代表者が集まった。同会議でイランのマースード・ペゼシュキヤーン大統領が「医療、貿易、産業、農業、安全保障、平和の分野でアフリカ諸国と連携する用意がある」と述べている。また、IRNAによると、アリー・ハーメネイー最高指導者もアフリカ諸国との関係拡大の必要性を強調しているという(4月27日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。IRNAではほかにも、5月にアッバース・アラーグチー外相の「イランはアフリカ諸国と経済協力を推進する」という発言も報じている(5月26日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(マティン・バリネジャド、加藤皓人)

(イラン、アフリカ)

ビジネス短信 2d1ebc3ae772a4dd