米トランプ政権、卵価格高騰はカリフォルニア州法に起因するとして提訴
(米国)
ロサンゼルス発
2025年07月17日
米国司法省は7月9日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)、同州のロブ・ボンタ司法長官などに対して、卵および家禽(かきん)製品の生産に煩雑な規制を課す州法を理由に訴訟を提起したことを発表した。
連邦政府では、卵および卵製品の商品表示や包装方法の適正性を確保するための基準を定める卵製品検査法を制定しており、これが卵価格を安価に保つ効果があるとしているが、カリフォルニア州の、ケージ飼いされた鶏から産まれた卵の州内での販売を禁止するなどの規制の影響で、全米の農家が卵製品検査法に基づく生産ができなくなっていると主張している。
司法省は、「カリフォルニア州が施行した官僚主義的で不必要な規制により、卵などの日用品の価格が高騰し米国民にとって手が出にくくなっている」「トランプ大統領のリーダーシップの下、連邦法を最大限に活用し、米国の家庭が抑圧的な規制の負担から解放され、米国の繁栄を取り戻せるよう尽力する」とコメントしている。訴訟の対象となったのは、カリフォルニア州法AB1437(2010年)、提案2(2008年)、および提案12(2018年)の3つの法令。動物愛護の観点から鶏のケージ飼いを禁止する規制は国際的な潮流であり、マサチューセッツ州やオレゴン州など9州が立法化済みで、7州では既にケージ飼いの鶏から生まれた卵の販売を禁止している。企業の中にも、マクドナルドなど、ケージフリーの卵しか使わないと宣言した企業もある。しかし、今回の司法省の訴状では動物愛護という背景は一切触れていない。
他方、「デーリー・ブリーズ」紙(電子版7月11日)によると、過去1年間の卵価格の記録的高騰は主に鳥インフルエンザによるものとされ、米国卵協会は「カリフォルニアでも同様で2024年後半から2025年初頭にかけて約1,200万羽が失われたことで、同州の卵生産は壊滅的な打撃を受け、卵の供給が枯渇した」とのコメントを同紙に寄せている。
こうした中で、ニューサム知事はSNSで「すべてをカリフォルニアのせいにするお気に入りの趣味にトランプ氏は戻っている」と発信している。
(堀永卓弘)
(米国)
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