米ウォルマート、カンザス州に自社所有の牛肉加工施設を開設
(米国)
シカゴ発
2025年07月08日
米国小売最大手のウォルマートは6月27日、カンザス州オラテで同社が所有・運営する初の小売用牛肉加工施設を開設したと発表した。同社は、敷地面積30万平方フィート(約2万8,000平方メートル)以上の最先端の加工施設に約2億5,700万ドルの新規投資をし、約670人の雇用創出を見込む。
同社は今回の新施設開設を、「アンガスビーフのエンド・ツー・エンド・サプライチェーン構築戦略における重要なステップ」と位置づけ、食品のトレーサビリティを求める顧客が増える中、追跡可能な製品を提供しつつ、サプライチェーンの耐久性と管理体制を強化する同社の取り組みを示すものの1つとしている。同施設では、ネブラスカ州ノースプラットの食肉処理場(と畜場)から、同処理場250マイル(約400キロ)以内の地域で飼育された牛のブロック肉を調達し、小売り用にカット・包装・価格ラベルを施した製品に加工し、中西部を中心に同社の14州の600店舗に配送する。
識者は、コストの面から「ウォルマートの施設のような、より効率化・自動化が進んだ食肉加工施設が、食品店の奥で働く何百人もの食肉加工労働者に置き換えられるだろう」と指摘している(カンザス公共ラジオ2023年6月13日)。牛肉の価格は近年、生産量の減少や需要の増加などによって、他の主要食品カテゴリーよりも価格上昇率が高くなっている。米国農務省経済調査局は、2025年中には牛肉・子牛肉の価格は、6.8%(予測範囲は2.6%~11.5%)上昇すると予測しており、これは食品価格の平均上昇率を上回るペースだ。
なお、ウォルマートは米国内での製品の調達・製造に取り組んでおり、2031年までに米国製製品に3,500億ドルを投資すると公約している。同社の年間支出の3分の2以上は、米国内で製造、栽培・飼育、または組み立てられた製品に充てられているとしている。
(星野香織)
(米国)
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