第41回ミラノ・ウニカ、ジャパンブース(JOB)は秋冬展として過去最大規模
(イタリア、日本)
海外展開支援部販路開拓課
2025年07月30日
テキスタイルの世界的な見本市「第41回ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」が7月8日~10日、イタリアのミラノで開催された。主催者によると、2026年秋冬コレクションを展示する今季の出展者数は735社に上った。会期3日間の来場者総数は公表されていないが、海外からの来場者数が前年比10%と大幅に増加した。ミラノ・ウニカのシモーネ・カンクリーニ会長は「第41回ミラノ・ウニカは、マーケティングおよび商業プロモーションのグローバル・プラットフォームとしての役割をさらに強化した」とコメントした。
一方、日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)とジェトロは共催で、2014年からジャパンブース「The Japan Observatory(JOB)」を設置している。今回のミラノ・ウニカでのJOB出展者数は計41社30ブース(うち新規企業7社)となり、参加企業数、展示面積ともにJOB開始以来、秋冬展として過去最大規模となった。
ジェトロでは、新型コロナ禍において、渡航できない中小企業を対象とする支援策としてサンプル素材の展示コーナー「JOB Plus」の設置を行っていたが、リアル出展の需要が復活した2024年以降、初出展あるいは出展経験の浅い中小企業を対象に「JOB Next by JETRO(JOB Next)」を設置し、出展料の一部補助を実施している。今回のミラノ・ウニカではJOB Next開始以来最多の10社(うち新規企業3社)が参加し、円安基調が続く中でも、輸出に力を入れる中小企業のリアル出展ニーズがうかがえた。
会期3日間のJOBでの商談件数(速報値)は2,000件を超え、出展企業からは「リピート顧客と商談できた」「海外でのリサイクルの必要性が再確認できたことは、今後の生地開発において明確になった」「JOB Trend & Indexを見て、目的をもってブースを訪れるバイヤーが多かった」などのコメントが寄せられた。
EU市場での法律や規則による規制強化や消費者の意識の高まりなども背景に、欧州の多くのブランドは、サステナビリティを重視した製品開発や循環型ファッションに向けたビジネスモデルへの転換に着手している。大手メゾンを中心に「認証が取れている生地のみ購入する」というブランドも少なくなく、バイヤーからは引き続き認証の取得を求める声が多く聞かれた。併せて、トレーサビリティや人権なども重要視されている。
このようなサステナビリティへの取り組みは、大手生地商社などでは専任の人材を配置する動きもみられるなど対応が進みつつあるものの、中小企業においては細分化されたサプライチェーンを整理・統合する手間や、現状では国内市場で提示を求められる機会が少ないことから認証取得への対応が遅れ、取り組みに未着手の場合も多く、実例を踏まえた情報共有や支援策の検討が課題となっている。
次回のミラノ・ウニカは、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの影響で通常より会期が前倒しとなり、2026年1月20~22日に開催される。ジェトロは引き続き2027年春夏コレクションとして、日系企業への出展支援を予定している。
JOBブースの様子(ジェトロ撮影)
JOBブースでの商談風景(ジェトロ撮影)
JOB Trend&Indexコーナー(ジェトロ撮影)
(鈴木優香)
(イタリア、日本)
ビジネス短信 2072b0758591b7b2