インド国営生保、農村女性の就業促進に関する覚書を政府と締結
(インド)
調査部アジア大洋州課
2025年07月25日
インドの国営生命保険会社ライフ・インシュランス・コーポレーション・オブ・インディア(LIC)は7月21日、農村開発省と農村地域の女性の経済的自立支援を目的とした制度「ビマ・サキ・ヨジャナ」推進に関する覚書を締結したことを発表した。この覚書は7月8~10日に同省がゴア州で開催した金融包摂(注1)に関する全国会議「アヌブティ」の場で調印された。
政府は2024年12月に「ビマ・サキ・ヨジャナ」制度を開始した。これは、女性の長期的な経済的自立の支援と、高収入を得られる保険業界での地位の確立を目的に設計され、国内には現在約20万人が加入しているという。加入の資格要件は18歳から70歳までの女性で、LICの保険販売代理店の営業職員として働くためのキャリアを提供するプログラムでもある。給与体系については、個人の営業成績に応じて支給される歩合給のほか、一定の条件を満たすことで支給される手当もある〔1年目:月額7,000ルピー(約1万1,900円、1ルピー=約1.7円)、2年目:月額6,000ルピー、3年目:5,000ルピー〕。この制度下で5年間の勤務を終えた者については、必要な基準を満たしていれば、LICの育成担当官候補としての職に応募する資格が与えられる。
また、LICは、「ビマ・サキ・ヨジャナ」の推進は農村開発省が農村部の貧困問題に対処するために掲げた国家農村生計ミッション「ディーンダヤール・アンティヨダヤ・ヨジャナ(DAY)」の目的とも合致すると発表している。今回の覚書締結により、「インシュランス・フォー・オール」(注2)の実現に向けた農村部の生命保険の普及や金融包摂、女性の就業促進の加速が期待される。
(注1)インド準備銀行(RBI、中央銀行)によると、社会のあらゆる層(特に社会的弱者層や低所得者層)が必要とする適切な金融商品・サービスへのアクセスを公平で透明性のある方法で、手頃なコストで確保するプロセスと定義されている。
(注2)インド保険規制開発局(IRDAI)が発表し、インド独立100周年の2047年までに全国民が保険加入することを目的とした国家的なビジョン。
(野本直希)
(インド)
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