大阪・関西万博を契機にブラジル日本投資フォーラム開催、より一層の経済関係強化呼びかけ

(日本、ブラジル)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年07月01日

ブラジルのミナス・ジェライス州工業連盟(FIEMG)は6月25日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への同州経済ミッション団の参加を契機に、大阪で「ブラジル日本投資フォーラム」を開催した。ロメウ・ゼマ知事が登壇したほか、両国関係の現状と展望について関係者が報告した。

両国の関係性については、在日ブラジル大使館商務部のチアゴ・ポッジオ公使参事官が説明した。まず、2025年3月のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の訪日、6月上旬の秋篠宮家の次女佳子さまのブラジル訪問など、両国にとって象徴的な行事が続いていると述べた。その上で、ブラジルは日本に原材料の鉄鉱石だけでなく、航空機といったハイテク製品も輸出しているとし、ブラジル産牛肉の対日輸出解禁に向けて、2025年6月に国際獣疫事務局(WOAH)から口蹄疫(こうていえき)ワクチン非接種清浄地域に認定されたことにも言及した。ミナス・ジェライス(MG)州には日本製鉄が出資している製鉄所ウジミナスがあり、製紙分野では王子ホールディングスがベロオリゾンテに進出しているが、日本企業には今後もブラジルへの投資を増やしてほしいと述べた。

ゼマ知事は、自身が中小企業の経営者だった経験に基づき、7年前の知事就任以降、事業展開の障壁の緩和・撤廃に努めてきたと強調した。特に経済の多角化が重要と認識し、起業家や中小・零細企業への支援を重視し、これまでに税制や衛生許認可取得の簡素化を実現したと述べた。これにより、個人事業主によるチーズの製造・販売や若手起業家によるスピリッツ製造が可能になった事例を紹介し、いずれも高付加価値ブランドになり、高い所得が得られ、かつ多くの正規雇用が生まれていると成果を語った。その上で、MG州はブラジル全体の平均よりも高い成長率を見せており、州として長期計画を立てて改革やインフラ整備を推進しているので、日本企業は同州に進出してほしいと呼びかけた。

写真 ゼマ知事のスピーチ(ジェトロ撮影)

ゼマ知事のスピーチ(ジェトロ撮影)

経団連企画部会の小寺勇輝委員長(三井物産顧問)は、経団連とブラジル全国工業連盟(CNI)は1974年から日伯経済合同会議を開催しており、両国政府に提言を行ってきたと説明し、2025年は9月にサンパウロで実施予定だが、その際の主要なアジェンダは日メルコスール経済連携協定(EPA)の締結だと指摘した。日伯関係は130年に上るが、貿易投資の経済効率を進める基盤となる貿易協定がいまだにないという状況だ。現地進出日系企業にとっては、リスク管理と業態拡大のためにEPAは不可欠で、早期の締結を進めていきたいと述べた。

このほか、ウジミナス、カナダ籍の鉱山会社シグマ・リチウムの代表者らがパネルディスカッションで自社の取り組みを披露した。

写真 パネルディスカッション(ジェトロ撮影)

パネルディスカッション(ジェトロ撮影)

(齋藤寛)

(日本、ブラジル)

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