フィッチ、ウズベキスタンの長期外貨建て格付けを引き上げ
(ウズベキスタン)
タシケント発
2025年07月09日
大手格付け会社フィッチ・レーティングスは6月26日、ウズベキスタンの長期外貨建て格付けを「BB-」から「BB」に初めて格上げした。2018年12月に同社がウズベキスタンの信用格付けを始めて(2019年1月17日記事参照)以降、初の格上げとなる。同社は格上げの理由について、改革の継続と良好な経済成長見通しにより、マクロ経済の安定性に対するリスクが軽減されたためと説明している。
同社は具体的に評価した内容として、a.歳入が増加したこと、また、同国のエネルギー部門への補助金支出がGDPの1%未満に削減されたことにより2024年には財政赤字全体がGDPの3%強に縮小した、b.2025~2026年の公的債務の対GDP比が32%と低水準になる見込み、c.2025年に入り、ウズベキスタンの外貨準備高に占める割合が大きい金の世界価格が25%以上も値上がりしたことにより、外貨準備高が2024年末の約410億ドルから2025年5月末には497億ドルに増加したことなどを挙げている。加えて、同社は2025年のウズベキスタンのGDP成長率を6.3%と予測している。
フィッチはさらに、同国格付けの引き上げを踏まえ、30日に同国最大手の国立対外経済活動銀行(NBU)、ウズベク工業・建設銀行(UICB)、アサカ銀行の国営3行の長期外貨建てと現地通貨建ての発行体デフォルト格付け(IDR)を「BB-」から「BB」に引き上げた。
フィッチに加え、S&Pグローバル・レーティングは5月23日に、ムーディーズは6月13日に、ウズベキスタンの信用格付けの見通しを安定的からポジティブに格上げした。この際、S&Pグローバル・レーティングは外貨建てと現地通貨建ての長期・短期ソブリン信用格付けを「BB-/B」に、資金移転・兌換(だかん)性評価を「BB-」に据え置き、ムーディーズは同国の長期格付けを「Ba3」に据え置いた。両機関はウズベキスタンの経済、ガバナンス、制度構築の分野の改革継続を期待しており、特にムーディーズは、改革の効果が表れればさらなる格上げの可能性に言及した。
国内では格付け引き上げは好意的に受け止められている、特に国際市場での債券発行企業の借り入れコストが下がる可能性があり、政府から国際市場でユーロ債を発行するよう命じられている15の国営企業にとっては朗報といえる。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン)
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