クイーンズランド州、日本との「貿易投資戦略2025-2028」発表
(オーストラリア、日本)
シドニー発
2025年07月18日
オーストラリアのクイーンズランド(QLD)州政府のロスリン・ベイツ財務・貿易・雇用・訓練相は7月9日、「クイーンズランド州・日本貿易投資戦略2025-2028」を発表した。QLD州が日本との貿易・投資関係を強化し、州の経済成長と脱炭素目標の達成を図るための中期戦略で、今後4年間で1,800万オーストラリア・ドル(約17億4,600万円、豪ドル、1豪ドル=約97円)を投じ、QLD州の貿易投資庁(TIQ)の市場戦略(注1)実現を加速させるとともに、州内の輸出業者、起業家、投資家に成果をもたらすとした。
同戦略では、QLD州にとって日本は第2位の財の輸出相手国(2025年5月時点)で、従来の資源や農産品の輸出(注2)が引き続き経済関係の土台になると位置づけた。特に資源分野では、再生可能エネルギーや重要鉱物の供給能力を日本のエネルギー安全保障や脱炭素化の目標と整合させることで、両国の低排出型社会への移行を支援するとした。併せて、両国の連携をより高付加価値、かつ戦略的な分野へ移行させる必要があるとし、次の新たな分野の協力に優先的に取り組むことを明記した。
- 国際教育、先端研究・イノベーション分野の両国パートナーシップ拡大
- QLD州の食品、農業、アグリテックの日本への輸出拡大
- QLD州のイノベーション、クリエーティブ、テクノロジー分野の活性化
- 州内の主要インフラプロジェクトに対する日本からの投資誘致
主要インフラプロジェクトとして、2032年のブリスベンオリンピック・パラリンピックを挙げた。一大イベントを成功させるため、2021年の東京オリンピック・パラリンピックでの経験と専門知識を活用し、日本からオリンピック関連プロジェクトを呼び込みたい考えだ。
また、同戦略の一環として、ベイツ財務・貿易・雇用・訓練相は7月14日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を訪問するミッションを実施することを発表した。QLD州の教育、研究・イノベーション分野の再活性化を目指すもので、州内にある37の大学や教育機関などを代表して訪問団を率いる。ベイツ財務相はオーストラリアパビリオンで、日本政府関係者や卒業生、教育関係者を招いて、QLD州主催の大規模なレセプションを開催し、国際教育や研究分野での協力強化を図る。
(注1)QLD州は「クイーンズランド貿易投資戦略2022-2032」を発表しており、具体的な取り組みとして、QLD州のプロモーション、輸出の促進、投資と雇用の拡大、信頼できる貿易投資パートナーであることを掲げている。
(注2)QLD州にとって日本は、50年以上にわたる石炭の主要輸出先で、2025年3月の石炭輸出額は108億豪ドルだった。また、農業品の輸出では、日本はQLD州にとって4番目の輸出先、中でも最大品目の牛肉は2025年3月に14億豪ドルだった。
(青島春枝、山崎美樹)
(オーストラリア、日本)
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