中銀債BOPREALシリーズ4の入札を終了、募集額を大きく下回る

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年07月22日

アルゼンチン中央銀行は7月16日、ドル建て中銀債「自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)」シリーズ4の全ての入札を終了したと発表した。同入札は、6月18日、7月2日、7月16日の計3回実施され、売却額はそれぞれ8億1,000万ドル、2,600万ドル、900万ドルで、累計8億4,500万ドルだった。中銀理事会は4月30日に、30億ドル分の発行を承認していたが、累計売却額はその半分にも満たなかった。

アルゼンチンでは外貨不足を背景に、2023年12月12日以前に輸入された財、サービスの輸入代金のうち、未払いだったもの(以下、旧輸入債務)の支払いが凍結された状態が続いている。2025年7月現在、旧輸入債務の支払いに加え、利益送金を目的とする外国為替市場へのアクセスも困難な状況だ。政府は救済措置として、旧輸入債務や未払い配当金を抱える事業者を対象に、ドルで償還されるBOPREALをこれまでにシリーズ1から3まで発行してきた(添付資料表参照)。事業者は、公式為替レート換算の現地通貨ペソで購入が可能で、満期まで保有して得られる償還金や、流通市場でBOPREALを売却して得た資金で旧輸入債務などを支払うことができる。シリーズ4の満期は2028年10月31日で、年率3%の金利が付く。

各種報道によると、シリーズ4の需要が小さかった理由としては、次のような見方がある。

  • すでに多くの事業者が優良スワップ取引(CCL、ブルーチップスワップ取引、注)など、他のスキームで旧輸入債務や未払い配当金を支払い済み。
  • 事業者によっては、資本取引規制の解除を待つという判断をしている。

そのほかに、流通市場におけるシリーズ4の取引価格が額面の8割程度となっていることから、それにより算出される暗黙の対ドル為替レートが公式為替レートの約1,300ペソに対して約1,560ペソとなり、旧輸入債務の支払いに必要なドルが割高になることを多くの事業者が受け入れなかった、との見方もある。

実際、進出日系企業の間でもBOPREALシリーズ4への関心は乏しかった。ジェトロが2025年5月27日から6月4日までの間に在アルゼンチン進出日系企業を対象に実施したアンケート調査の結果によると、回答企業24のうち旧輸入債務の問題を抱えていたのは15社。そのうち、BOPREALシリーズ4の購入を検討していると回答したのは2社にとどまった。

(注)国境をまたぐ有価証券取引を通じ、アルゼンチンペソと外貨を交換する取引。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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