2024年の日本の対中投資実行額、前年比46%減
(中国、日本)
調査部中国北アジア課
2025年07月09日
中国国家統計局運営のウェブサイト「国家データ」によると、2024年の日本から中国への直接投資実行額は前年比46%減の21億ドルだった(添付資料表参照、注1)。中国側統計に基づいた日本の対中投資は2021年から2年連続で増加し、2022年に46億ドルとなった後、ここ2年は連続で減少した。「国家データ」では2005年まで数値をさかのぼれるが、過去最低の水準となった。全体に占める日本の構成比は1.8%で、2023年より0.6ポイント縮小した。商務部運営のウェブサイト「中国投資指南」などでは、2019年1~10月に毎月上位10カ国・地域の投資実行額を発表していたが、それ以降は発表はなく、「国家データ」が主要国・地域の対中投資動向把握の手段となっている。
「国家データ」で2024年の数値が確認できる主要国・地域の状況をみると(7月7日時点)、1位は香港で、前年比33.6%減の738億ドルとなり、全体の63.5%を占めた。次いで、2位はシンガポール(9.4%増の107億ドル)、3位はケイマン諸島(56.4%増の55億ドル)、4位は英領バージン諸島(43.1%減の39億ドル)、5位は米国(19.6%減の27億ドル)だった。米中摩擦の長期化が指摘される米国は2023年に2010年(30億ドル)以後初めての30億ドル台(34億ドル)となっていが、2024年は減少に転じた。日本の順位は2023年の4位から7位に後退した。
世界の2024年の中国への直接投資実行額は前年比28.8%減の1,162億ドルだった。2022年に6年連続の増加で過去最高を記録した後、ここ2年連続で2桁減となった。不動産市場が低迷し、民間投資・消費とも力強さを欠く中、2024年の中国の実質GDP成長率は前年比5.0%と、前年より0.4ポイント鈍化した。前述の米中摩擦の長期化に加えて、地場企業との競争激化も指摘される。こうした状況が投資家の投資マインドに影響したと考えらえる。
ちなみに、商務部の6月20日の発表によると、世界の2025年1~5月の中国への直接投資実行額は前年同期比13.2%減の3,581億9,000万元(約7兆1,638億円、1元=約20円、ドルベースの発表はなし)。商務部は、国・地域別では(注2)、日本からが70.2%増、英国からが60.9%増、ASEANからが20.5%増、韓国からが10.3%増、ドイツからが7.1%増だったと明らかにした。なお、1~5月の外資系企業の新規設立数は前年同期比10.4%増の2万4,018社だった。
(注1)直接投資実行額は、外国投資者の現金、実物、無形資産、株式などを用いた投資と、現地法人の利益を用いた再投資。
(注2)これらの国・地域からタックスヘイブンを経由した対中投資額も含まれる。
(宗金建志)
(中国、日本)
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