習国家主席がEU首脳と会談、グリーンやデジタル分野で協力強化
(中国、EU)
北京発
2025年07月28日
中国の習近平国家主席は7月24日、北京市で欧州理事会(EU首脳会議)のアントニオ・コスタ常任議長、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談を行った。習国家主席は会談で、中国とEUの今後の発展について、次の3点を強調した。
第1に、中国とEUは相互尊重を堅持し、パートナーシップの位置付けを固めるべきとした。中国と欧州は歴史や文化、歩んできた道、制度や発展段階が異なるのは事実だが、そうした違いが過去に中国とEUの外交関係樹立や双方の関係発展の障害になったことはなく、今後も双方の関係の妨げになることはないとし、中国と欧州の間には根本的な利害の対立や地政学的な矛盾はなく、競争より協力、相違より合意という基本や基調は変わっていないとした。また、中国はEUとの関係を常に戦略的かつ長期的な視点から捉え、発展させ、EUを多極化した世界で重要な一極と認識し、EUの戦略的自主性を一貫して支持してきたと指摘した上で、EUも中国が選んだ道と体制を尊重し、中国の核心的利益と重大な懸念を尊重し、中国の発展と繁栄を支持することを望むとした。
第2に、開放と協力を堅持し、相違と摩擦を適切に処理すべきとした。中国とEUの経済貿易関係の本質は互いの強みを補完し、ウィンウィンの関係を実現することで、中国とEUはグリーンやデジタルの分野での協力を深化させ、相互に投資と協力を推進すべきとした。また、EU側が貿易・投資市場の開放を維持し、制限的な経済・貿易手段の利用を控え、中国企業がEUで投資し繁栄するために有利なビジネス環境を提供することを望むとした。
第3に、多国間主義を実践し、国際的なルールと秩序を守るべきとした。時代に即したより公正で合理的なグローバル・ガバナンス・システムの構築を推進し、気候変動などの地球規模の課題に手を携えて取り組み、多国間主義のともしびが人類の行く末を照らすようにすべきとした。さらに、中国は人工知能(AI)分野の政策コミュニケーションと実務協力でEUと協力し、平等で秩序あるかたちでの世界の多極化と、包括的な経済グローバル化を共同で推進する用意があると述べた。
中国外交部は、これらの習国家主席の発言に対してEU側は「EUは中国との分離を求めておらず、中国企業が欧州で投資し繁栄することを歓迎する。EUと中国は気候変動などの地球規模の課題に協力して取り組み、世界の平和と安定を維持すべきだ」と回答したと発表している。
(亀山達也)
(中国、EU)
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