米EVメーカーのリビアン、ジョージア州に東海岸本社新設を発表
(米国)
アトランタ発
2025年07月24日
米国の新興の電気自動車(EV)メーカー、リビアン(本社:カリフォルニア州)は7月17日、ジョージア州での投資の一環として、同州アトランタ市に東海岸本社を新設すると発表した。2025年末までに開設し、約100人の雇用を見込んでいる。現地報道によると、カリフォルニア本社からの人員の異動はなく、一般管理サービス部門職を地元で新規採用する。2026年にはさらに拡張する予定で、新本社完成時には約500人が就業する予定だ。
リビアンは2021年12月、50億ドルを投じてジョージア州にEV工場を新設すると発表した(2021年12月21日記事参照)。しかし、2024年3月、イリノイ州ノーマルの既存工場に生産を集約させて必要経費を節約するため、新工場建設の一時中断を発表した(2024年3月14日記事参照)。その後、2024年5月にノーマル工場拡張に対してイリノイ州から総額8億2,700万ドル相当のインセンティブを獲得したほか、翌6月にはドイツのフォルクスワーゲン(VW)との総額50億ドル規模の合弁事業を発表した。また、同4年11月には、中断中のジョージア州の新EV工場建設のため、条件付き66億ドル融資確約を米国連邦エネルギー省(DOE)から取り付けた(2024年5月21日記事、2024年7月3日記事、2024年11月29日記事参照、注1)。経費削減の取り組みが奏功し、2024年第4四半期(10~12月)には初めて黒字を計上した。
同社は2026年上半期にノーマル工場での中型スポーツ用多目的車(SUV)「R2」(注2)の生産開始を予定する。生産開始後に欧州市場への進出を検討しており、新設する東海岸本社は物流面でこれを支援するという(「アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション」紙電子版7月18日)。同社は既に欧州で販売・サービスインフラの構築を開始している。クレア・マクドノー最高財務責任者(CFO)によると、「R2」は当初から世界市場への拡大を念頭に設計しており、同社にとって国際的に展開する主力製品になるという(「インダストリー・ウイーク」4月21日)。
現地報道によると、建設を中断しているジョージア州の工場は8月に準備作業を再開し、2026年初頭に着工、2028年までに「R2」と、同じく中型SUVの「R3」の生産を開始する予定だ。なお、同社は2022年、新工場建設に対して、ジョージア州政府や郡の経済開発局から総額15億ドル相当に上る優遇措置を受けることで合意しており、2028年末までに50億ドルの設備投資を行い、7,500人の雇用を創出することを約束している。
(注1)同州のブライアン・ケンプ知事(共和党)は2025年2月、地元メディアの取材に対し、トランプ政権が連邦政府全体で支出凍結を次々と実施する中、融資の状況は不透明だとコメントした(「テッククランチ」7月17日)。
(注2)現在販売されているピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の販売価格はいずれも7万ドル台からなのに対し、「R2」は約4万5,000ドルからになる見込み。リビアンは「R2」の開発に当たり、材料費削減と販売価格引き下げに注力したという。
(横山華子)
(米国)
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