6月の製造業PMI、米中摩擦の影響受けるも、2カ月連続で回復傾向
(中国)
調査部中国北アジア課
2025年07月10日
中国の国家統計局と物流購買連合会が6月30日に発表した同月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.7だった。前月より0.2ポイント上昇し、5月に続いて上昇したものの、4月から連続して景気判断の分かれ目となる50を下回っている。6月の非製造業のビジネス活動指数は前月比0.2ポイント上昇の50.5だった(添付資料図参照)。
製造業PMIを構成する指数では、生産指数、新規受注指数、サプライヤー納期指数(注1)が50を上回り、それぞれ51.0(前月比0.3ポイント増)、50.2(0.4ポイント増)、50.2(0.2ポイント増)だった。一方で、原材料在庫指数、雇用指数はそれぞれ48.0(0.6ポイント増)、47.9(0.2ポイント減)と、いずれも50を下回った。
企業規模別にみると、大型企業のPMIは51.2と、50を上回った。中型企業は48.6で、前月から1.1ポイント上昇したものの、50を下回った。小型企業は47.3と、前月から2.0ポイント低下し、前月に続いて50を下回った(注2)。
国家統計局サービス業調査中心の趙慶河高級統計師は6月の製造業PMIについて、「調査を行っている21業種のうち、前月より4業種多い11業種が50を上回り、製造業の景気が拡大している」と評価した。一方で、「非金属鉱物製品や、鉄鋼の精錬・圧延・加工などの業種で、生産指数と新規受注指数のいずれも50を下回っており、市場活動はまだ不十分」との見解も示した。
中国物流信息中心の文韜アナリストは「中米間の経済貿易関係が段階的に緩和するに従い(注3)、外部環境の負の影響が弱まり、中国の製造業が正常な軌道に戻り、市場の需要も全体として回復を見せた」とした。また、「第2四半期(4~6月)は米国の関税政策の変化により、中国の製造業は一時的な影響を受けて短期的に減速したものの、すぐに回復した。企業の生産活動は堅調に推移し、製造業PMIは2カ月連続で上昇した」と指摘している。(「環球時報」7月1日)。
(注1)サプライヤー納期指数は、製造業が生産に必要な購買品の量に応じて変化する。購買品の需要が増加すると、サプライヤーの対応能力に制約がかかり、納期が長期化し、同指数が50を割り込む。
(注2)中国国家統計局では製造業などの「工業企業」について、売上額が4億元(約80億円、1元=約20円)以上、かつ従業員数が1,000人以上の企業を大型企業、売上額が2,000万元以上4億元未満、かつ従業員数が300人以上1,000人未満の企業を中型企業、売上額が300万元以上2,000万元未満、かつ従業員数が20人以上300人未満の企業を小型企業、その他を微型企業と定義している。
(注3)中国商務部は5月12日、スイス・ジュネーブで実施した米中経済貿易ハイレベル会談の共同声明を発表し、これまで米中双方が課していた関税措置が5月14日から部分的に緩和されることとなった。詳細は2025年5月13日記事参照。
(和田拓己)
(中国)
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