2025年サマーダボスが天津で開催、李首相が中国ビジネス環境の優位性アピール
(中国)
北京発
2025年07月01日
第16回ニュー・チャンピオン年次総会(サマーダボス)が6月24~26日、中国天津市で開催された(注1)。
25日の開幕式では、李強首相が基調講演を行った(注2)。李首相は講演で、国際的な経済・貿易の構造は現在大きく変化していると指摘した。特に経済・貿易体制の多様化が進み、グローバルサウスの台頭や地域連携の進展、国境を越えた投資の減少やサプライチェーンの分断リスクの高まりなどがあるとした。また、世界経済のニーズに応えていくために、中国は引き続き積極的に世界市場に関与していくことで貢献していきたいとし、中国の持続的なイノベーションの飛躍が原動力の不足する世界の成長に新たな活力を与えるとした。
開幕式に続いて、李首相は産業界代表との座談会を開催し、外資企業が中国でビジネスを展開する上での3つの優位性を述べた。
1つ目は、世界の産業チェーンの調整が進む中、産業支援の質と効率は重要とし、多国籍企業が有するブランドやチャネル、技術などの優位性を中国の産業支援と組み合わせることで、より高い品質の製品とサービスを形成し、企業の国際競争力を高めることができるとした。
次に、急速に進む科学技術の革新を背景に、新技術の産業化の速度と産業循環、アップグレードが重要とし、中国には多種多様な製品や膨大なユーザー基盤があり、各国企業がこれらを活用し、科学技術や共同革新に向けた協力を行うことができる環境と機会があるとした。
最後に、国際的な経済・貿易の協力における不確実性の高まりを背景に、企業が発展する環境の安定性は重要とし、現在の保護主義、一国主義、反グローバル化の台頭は企業の発展に大きな問題を引き起こしていると指摘した。このような状況下、中国経済は外部からの衝撃に耐え、独自のペースを維持できる安定性を有しているとした。
座談会後、中国中央電視台(CCTV)の国際放送局CGTNによるインタビューで、アルジェリアのヌールッディーン・ワダーハ知識経済・スタートアップ・零細企業相は「アルジェリアはデジタル化に注力しており、その最初の技術パートナーは中国企業だ。現在、中国大手企業が驚異的な技術を展開している。アルジェリアは中国と協力し、これらの技術を迅速に導入し、新たな経済やより速い成長を促すための手段とできる。情報通信技術のみならず、再生可能エネルギーや自動車、ロボット工学といった技術での協働も考えられる。これらのテクノロジーは全て経済を発展させ、より強靭にするためのツールだ」と述べた。
(注1)スイスの世界経済フォーラム(WEF)によると、この会合は「新たな時代の起業家精神」をテーマに、各国政府、企業、アカデミア、国際機関、メディアなどから1,700人以上が集まり、次世代の経済に求められる起業家的なソリューションを探求することを目的に開催された。
(注2)新華社によると、開幕式には、エクアドルのダニエル・ノボア大統領、シンガポールのローレンス・ウォン首相、キルギスのアディルベク・カシマリエフ首相、セネガルのウスマン・ソンコ首相、ベトナムのファム・ミン・チン首相のほか、90以上の国・地域から各界の代表1,700人以上が出席した。
(亀山達也)
(中国)
ビジネス短信 0c21b1a57021c933