フランス、漫画とアニメの消費動向と違法コンテンツの現状報告公表

(フランス、日本)

パリ発

2025年07月10日

フランスの視聴覚・デジタル通信規制局アルコム(Arcom)は7月3日、フランスの漫画・アニメの消費動向と違法コンテンツの現状に関する調査レポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(フランス語、注1)を公表した。漫画の売上高の推移、読書頻度や読書形態、アニメの視聴頻度や支出額、主要プラットフォーム、漫画・アニメの違法コンテンツの現状や課題をまとめた。

2022年に3億8,100万ユーロに達した漫画の売上高は、2024年は3億900万ユーロまで減少したが、出版市場における漫画の売り上げシェアは2019年の5%から2024年の11%へと倍増した。大手7社が出版している漫画が75%以上を占めた。また、12カ月以内に読んだ本として、回答者の23%が漫画を挙げた。漫画の主な購読層は40歳未満の男性だった。

漫画全体の売上高に占める電子コミックの割合は高くないものの、一般読者に比べて漫画の読者は電子コミックを読む傾向が高く、使用媒体はスマートフォン(88%)、PC(84%)、タブレット(74%)という回答だった。若年層ほどスマートフォンの使用が多く、15~24歳では98%がスマートフォンで読んでいた。

アニメの視聴経験としては、38%の回答者が12カ月以内に少なくとも1回、アニメを視聴しており、視聴経験者の66%は週1回以上視聴していた。1年間にアニメに支出した平均額は142ユーロ、主な視聴手段のSVOD(注2)の会費には年間で平均93ユーロ支出していた。視聴プラットフォームの認知度では、ネットフリックス(33%)、クランチロール(16%)、アマゾンプライム(15%)の順に高かった。

漫画・アニメの違法コンテンツに関しては、12カ月以内にアクセスしたと回答した消費者は57%だった。アクセスした主な理由は、漫画、アニメともに経済的な理由が最多だったものの、漫画については違法サイトのアクセスの迅速性も主要因として挙げられた。また、違法サイトと合法サイトの判別が困難なことも浮かび上がった。違法コンテンツの対応に関しては、海賊版対策の担い手が不明瞭なことや、国外の権利者は利用許諾しか有していないケースが多いが、海賊版排除の措置は日本の権利者の関与が必要といった課題があった。

(注1)2024年6月実施の消費者8人への2時間半のインタビューによる定性調査、2024年8~9月実施の15歳以上のフランス人2,421人を対象にした定量調査をまとめたレポート。

(注2)サブスクリプション型のストリーミングサービス(Subscription Video On Demand)の略。

(坂本紀代美)

(フランス、日本)

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