カンボジアのQR決済、日本国内で利用可能に

(カンボジア、日本)

プノンペン発

2025年07月15日

カンボジア中央銀行(NBC)と、日本の経済産業省、キャッシュレス推進協議会(PJA)は7月4日、カンボジアのQRコード決済統一規格(KHQR)と日本のQRコード決済統一規格(JPQR)(注1)の連携を開始すると発表した。KHQRはJPQRと連携する初めての海外統一規格となった。

NBCとPJAのプレスリリースによると、同連携のフェーズ1として、日本国内でカンボジアのモバイル決済アプリを使い、JPQRをスキャンしてリエル通貨で決済できる。これにより、カンボジアのデジタル通貨「バコン」(注2)などのモバイル決済アプリを利用するユーザーは、日本でも同アプリからJPQRをスキャンして越境支払いができる。フェーズ1は7月5日から2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)内の一部店舗で導入が始まった。フェーズ2では、2025年末までに日本のモバイル決済アプリでKHQRをスキャンし、円通貨で決済が可能になる予定だ。

NBCのチア・セレイ総裁はこの取り組みについて、「越境取引のためのデジタルインフラ構築と、協力と相互成長の促進で、カンボジアの進展を強調するもの」とコメントした。また、PJAの福田好郎事務局長は「この連携により、決済だけでなく、越境交流が広がり、日本とカンボジア間の継続的な成長と繁栄を可能にするつながりとネットワークが生まれる」と述べた。

カンボジアでは2020年のバコン導入以降、電子決済の利用が普及しており、総取引額は着実に増加している。2024年度のNBC年次報告によると、リエル取引額は183兆7,400億リエル(約6兆7,984億円、1リエル=約0.037円)で前年比2.3倍、ドル取引額は1,048億ドルで前年比95%増加した。総取引額はカンボジアのGDPの330%に相当する。カンボジアのKHQRはJPQRだけではなく、既に6カ国以上の統一規格(注3)とも連携している。今後、越境QR決済のさらなる普及により、カンボジアでの取引拡大が期待される。

(注1)「JPQR」は、キャッシュレス推進協議会が策定したQRコード決済の統一規格。「KHQR」は、カンボジア中央銀行策定のQRコード決済の統一規格。複数社ある決済QRコードを同一規格のQRコードに統一することで、同一のQRコードで複数社の決済アプリに対応する。

(注2)「バコン」とは、カンボジアで2020年10月20日から運用されているドル、カンボジア通貨リエルのデジタル決済システムのこと。現在、銀行やマイクロファイナンス、決済サービス企業の60社以上が加入している。

(注3)タイ(Thailand QR Payment)、ベトナム(VietQR)、ラオス(LAP Net)、マレーシア(DuitNow)、韓国(JBB)、中国(Union Pay、Alipay+)など。

(トー・タイ)

(カンボジア、日本)

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