Hamburg Innovation Summit開催、ハンブルクのスタートアップ・エコシステム・プレーヤーが集結
(ドイツ)
ベルリン発
2025年07月28日
ドイツ北部のハンブルクで7月10日、イノベーションイベント「Hamburg Innovation Summit(HHIS)」が開催された。このイベントは、2015年に大学関係者間のネットワーク構築を目的として発足し、2024年以降は技術的なイノベーションだけでなく、社会的・文化的なイノベーションも包含するイベントに発展している。10周年を迎えた今回の参加登録者は前回の2倍近くに迫る3,000人超、6つのステージで160人以上のスピーカーによる80以上のプログラムが行われ、ハンブルク州最大規模のイノベーションイベントに成長した。
イベントでは、ハンブルク州の地域イノベーション戦略に基づき、10のフォーカストピックを設定した。同州のメラニー・レオンハルト経済・労働・イノベーション担当上院議員や、マリヤム・ブルーメンタール科学・研究・機会均等担当上院議員が登壇したオープニングセレモニーでは、人工知能(AI)・量子コンピューティングの分野の議論を活発に行った。また、ハンブルクでのディープテック起業エコシステムの構築を目指す産官学連携イニシアチブ「Impossible Founders」についても言及した。同イニシアチブは「科学的なブレイクスルーを現実世界にインパクトを与えるベンチャーへと変革する」ことを目指し、研究者が起業家となる道を支援している。ハンブルクの大学や研究機関と密接に連携し、科学を基盤としたスタートアップ創出を加速させるべく活動しており、技術交流の拠点としての同地の強みを紹介した。
オープニングセレモニーの様子(ジェトロ撮影)
イベントには、エアバスやジョンソン・エンド・ジョンソンなど、ハンブルクに拠点を構える大手企業も出展した。担当者にヒアリングしたところ、主に人材発掘を目的に出展しているという。会場内には学生の姿も多く見られ、ハンブルク企業と学生の交流の場になっていることがうかがえた。その他、ハンブルクのスタートアップシーンを支えるプレーヤーも多く出展・登壇しており、地場のネットワークとつながる有効な機会となった。
日本からは、石油由来の有機溶媒の使用量を大幅に削減できるメカノケミカル有機合成技術の社会実装を目指す「メカノクロス」がイベントに出展した。同社はジェトロのグローバル・アクセラレーション・ハブ(注)の活用を通じて、ハンブルク州経済振興公社(Hamburg Invest)によるスケールアッププログラム「Scaleup Hamburg」に参加中で、ドイツ渡航プログラムの一環で今回のイベントにも出展した。
HHIS会場内のメカノクロスのブース(ジェトロ撮影)
(注)ジェトロが海外の有力アクセラレーターなどと提携し、日系スタートアップのグローバル展開を支援する目的で、海外事務所に設置しているプロジェクト。
(山田はんな)
(ドイツ)
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