日本政府、イスラエルとイランの軍事衝突に関し事態沈静化を強く求める

(中東、日本、イスラエル、イラン、米国)

調査部中東アフリカ課

2025年06月17日

イスラエルは6月13日、イランの核施設に対して先制攻撃を行った(2025年6月13日参照)。イランでは軍関係者のほか、民間人にも被害が出ており(2025年6月13日記事参照)、イランは同日、イスラエルに対してドローンでの反撃を行った。6月14日、15日も両国の攻撃の応酬が続き、イランでは核施設、核技術研究者や軍関係者への被害が確認されている(2025年6月16日記事参照)ほか、イスラエル側でも被害が報じられている。

石破茂首相は今回の軍事衝突を受け、6月13日のドナルド・トランプ米大統領と電話会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの際に、「中東地域の平和と安定は極めて重要であるとの認識を共有」したという。また、岩屋毅外相は同日、イスラエルによるイラン攻撃に対して、「米国・イラン間の協議を始め、イランの核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは極めて遺憾」とした。また、イランからイスラエルへの攻撃を受けて、「全ての関係者に対して、最大限の自制を求めるとともに事態の沈静化を強く求める」との談話外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。

なお、外務省はイスラエルやイラン各地の渡航の危険レベルをレベル3(渡航中止勧告)以上に引き上げた(外務省渡航安全ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。在イラン日本大使館の連絡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます在イスラエル日本大使館の連絡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも参照。各航空会社や空港の状況により、イラン、イラク、イスラエルなど発着の便は停止の報道もある。

今回の情勢悪化に伴い、原油価格は上昇を見せた。日本はイランからは原油は輸入していないが、日本の原油輸入で2025年4月時点で中東依存度は93.7%と高く(2025年4月石油統計速報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、中東原油はイランにも面するペルシャ湾のホルムズ海峡を通って日本に運ばれる。日本の原油の中東依存度は前年同月比で1.9ポイント減と7カ月ぶりに前年を下回ってはおり、米国からの原油輸入量は前年同月比で約2.3倍だった。

なお、イスラエルでは6月12日にクネセト(国会)を解散する法案が提出されていたが否決され、ベンヤミン・ネタニヤフ政権が継続となった(2025年6月16日記事参照)。

(井澤壌士)

(中東、日本、イスラエル、イラン、米国)

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