米連邦地方裁判所、トランプ政権によるEV充電インフラ用資金の拠出停止を差し止め
(米国)
ニューヨーク発
2025年06月26日
米連邦地方裁判所は6月24日、トランプ政権による電気自動車(EV)充電インフラ整備のための資金拠出停止を一部差し止める判決を出した(2025年2月12日記事参照)。被告が控訴しない場合は、差し止め命令は7月2日に発効する。
米国運輸省連邦高速道路局(FHWA)は2月6日、全国の州運輸局に対し、FHWAが管轄する「国家EVインフラプログラム(NEVIフォーミュラプログラム)」に関し、各州に割り当てられた助成金の承認を一時停止すると通達した(注1)。これに対し、全米16州とコロンビア特別区(首都ワシントン)の司法長官らは5月7日、資金凍結は違法で違憲だとして、運輸省とショーン・ダフィー長官を連邦地裁に提訴していた(2025年5月9日記事参照)。今回の差し止め命令はこのうちの14州が対象となる(注2)。
ワシントン州西部地区地裁のタナ・リン判事は判決文で「連邦政府による資金配分の拒否は憲法上の権限を逸脱したものだ」「各州は連邦政府からのさらなる資金提供を期待して、充電インフラ整備に独自の資源を投入していたため、トランプ政権の政策転換によって損害を被った」と述べた(ロイター6月24日)。米国議会調査局(CRS)によると、NEVIプログラム50億ドルのうち、2025年度までに計33億ドルが既に割り当てられているが、政府からの支出が承認された「義務化」分は2025年2月時点で約5億3,000万ドルとなっている。
(注1)NEVIフォーミュラプログラムは、資金が割り当てられた後、各州がNEVI資金をどのように使用する予定かを記載した計画を運輸省長官が承認する必要がある。
(注2)ミネソタ州、バーモント州、コロンビア特別区は証拠不十分のため、差し止め判決の適用外。
(大原典子)
(米国)
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