インド商工省、家庭用・業務用の電気機器へのBIS強制認証を2026年3月まで延期
(インド)
ニューデリー発
2025年06月05日
インド商工省産業・国内取引促進局(DPIIT)は5月19日、インド標準規格(IS、通称BIS)の認証取得が義務化される家庭用、業務用、または類似の用途向けの電気機器に対する品質管理令(QCO)の施行延期を発表した。同QCOは2024年9月に通達され、当初は2025年から順次施行される予定だった。今回の発表によると、QCOの施行日は2026年3月19日となり、中小企業は2026年6月19日、零細企業は2026年9月19日まで施行が延期されることが盛り込まれた。
今回のQCOでは、単相交流機器は電圧が250ボルト(V)以下、その他機器(直流機器やバッテリー駆動機器を含む)の電圧が480V以下の家庭用、業務用、および類似用途向けのすべての電気機器が対象となるが、輸出用に国内で製造された商品については適用が除外される。加えて、研究開発の目的で輸入された場合も、当該製品の年間記録を中央政府からの要望に応じ提出することで、年間200台まで対象外となる。
本QCOの施行に伴い、商工省が産業界の反応を把握するため、2025年5月15日にピユシュ・ゴヤル商工相による意見聴取会合が実施された。参加者からは、製品のカテゴリーによって準備に必要な時間が異なるとして施行延長を要望する声や、グローバルサプライチェーンの複雑さを考慮して先に完成品、後に部材を対象とするといった段階的な施行を希望する声などがあがっていた。
QCOは当該品目を管轄するインド省庁から発行される通達で、その対象となった品目は、国産品・輸入品を問わず、インドでの流通や販売に際してインド標準規格局(BIS)が定めるISの認証取得が義務化される(2024年3月18日地域・分析レポート参照)。IS認証制度は対象品目の品質を担保することが主目的とされる一方、実際の認証取得の手続きにおいて、輸入品の場合は半年以上の期間を要する。このため、部材供給を海外に依存するインド国内製造業企業にとって、同認証の義務化はサプライチェーンに大きな影響を与えかねない施策として注視されている。
(佐藤利昭)
(インド)
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