米アトランタ市、自動運転公共シャトルの試験プロジェクトに175万ドル拠出
(米国)
アトランタ発
2025年06月12日
米国ジョージア州のアトランタ地域交通局は6月4日、アトランタ市初の自動運転公共シャトルの試験プロジェクトに175万ドルを拠出することを承認したと地元メディアが報じた(「アトランタ・ニュース・ファースト」6月5日)。
同試験プロジェクトは、アトランタ市を回廊状に取り囲むトレイル(遊歩道)「アトランタ・ベルトライン」(注1)の開発を担うアトランタ・ベルトライン・インク(ABI)による300万ドル規模の計画の1つで、同市も開催地の1つとなる2026年のFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ開催に併せて計画が進められている。自動運転のモビリティーサービスを提供するスタートアップのビープ(本社:フロリダ州オーランド)と提携する。資金は同州運輸省の交通信託基金プログラムから拠出され、残りの費用はABIと民間からの現物寄付で賄われる。
2025年夏から準備を開始し、実施期間は2026年1月1日からの12カ月で、同市南西約2マイル(約3.2キロ)の一般道で実施する予定だ。ルート上でアトランタの公共交通システムMARTAの駅とベルトラインに接続する(注2)。ファースト・ラストワンマイル(注3)の接続を提供し、地域への経済効果の創出や観光促進を目指す。当面はバスの代わりに、ビープの自動運転技術を搭載したフォードのバン4台を15分間隔で運行する。定員は10人で、乗客支援の人員も同乗する。シャトル運行中は遠隔監視を行うスタッフが区間内で待機する。運賃は未定だが、無料もしくは少額となる予定だ。
ABIによると、ビープはインフラ構築が不要で、短期の試験プロジェクトに適しており、資本コストが「大幅に」低減されるという。同社は車両の調達、運用、サービス管理などを網羅する「ターンキー・モビリティー・ソリューション」(注4)を提供する。
同社は、これまでに米国10州で40件以上の自動運転サービス展開実績と、6州で24件の自動運転シャトル導入実績がある(2021年10月27日記事、2023年5月8日記事参照)。アトランタ市北西のカンバーランドでも2023年7月から、米国メジャーリーグベースボール(MLB)所属のアトランタ・ブレーブスの本拠地球場「トゥルーイスト・パーク」に隣接するエリアで試験プロジェクトを実施し、利用者は1万人以上に上った。
(注1)アトランタ・ベルトラインは、2000年代初頭に歴史的な鉄道回廊を再利用した都市再開発プロジェクトとして計画された。7つのメイントレイルと3つの接続トレイルで構成し、周辺の45地域を結んでいる。この環状トレイルを南北と東西に貫くかたちで、MARTAの電車が4路線走っている。
(注2)運行ルートは、ルート北端のアトランタ大学センター(AUC)からMARTAウエスト・エンド駅を経由し、南端のリー + ホワイトエンターテインメント・ディストリクトでベルトラインのサウスウエスト・トレイルに接続する。
(注3)最寄り駅やバス停と自宅あるいは目的地の間などの短距離、または比較的狭い範囲内の移動を指す。
(注4)顧客が製品やサービスをすぐに利用できる状態で提供するサービスを指す。
(横山華子)
(米国)
ビジネス短信 ceecfc2fab9caf4b