メキシコ、第1四半期の自動車部品生産額は前年同期比8.2%減
(メキシコ)
メキシコ発
2025年06月13日
メキシコ自動車部品工業会(INA)は6月9日に行った定例記者会見で、2025年第1四半期(1~3月)の自動車部品生産額が前年同期比8.2%減の284億8,700万ドルとなったことを発表した。1月の生産額が前年同月比10.3%減、2月が同10.8%減、そして3月は同3.6%減と、生産額の減少が続いた。
国内全体の自動車生産額に各州が占める割合では、北部国境のコアウィラ州が15.1%、中央高原に位置するグアナファト州が13.7%、北東部ヌエボレオン州が13.2%と、全体の10%超の生産額を誇る上位3州の順位は前年と変わらなかった。輸出については米国向けが86.8%と、こちらも前年と変わらず9割近くを占めた。
INAのフリオ・ガルバン経済調査マネジャーは今後の見通しについて、「日々状況が変化するため、正確な予測は難しい」と前置きしつつ、米国の自動車生産・販売状況とメキシコでの自動車部品生産額のアップダウンがおおよそ連動していることを踏まえ、「米国の自動車生産・販売がリズムを崩さなければ、メキシコの自動車部品生産も安定した数字を得られるのではないか」との見解を示した。
発表資料によると、INAが抽出した自動車部品関連の関税分類番号(HSコード)に該当する418品目において、2025年第1四半期の米国向け輸出で、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を利用している割合は53.8%だった。一方、45.7%は最恵国待遇(MFN)税率で輸出されていた。2024年以前は、MFN税率が0%または軽微というメリットの少なさから、米国への輸出時にUSMCAを利用しないというケースも多くみられた。しかし、米国のトランプ政権による対メキシコ追加関税(注)適用以降は、USMCAの原産地規則を満たすことが追加関税回避のための重要な要件となっている(2025年3月7日記事参照)。
また、1962年通商拡大法232条に基づく自動車部品に対する追加関税に関しても、米国税関・国境警備局(CBP)が発表したガイダンスでは、USMCAの原産地規則を満たす自動車部品には追加関税が適用されないことが明記されている(2025年5月2日記事参照)。
(注)合成麻薬と不法移民対策を理由とした国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく追加関税。
(渡邊千尋)
(メキシコ)
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