エア・インディア、航空機墜落事故後に羽田便など一部路線を減便・運休

(インド)

ニューデリー発

2025年06月27日

インドの航空会社大手エア・インディアは、6月中旬に発生した航空機墜落事故を受けて路線の運休・減便を相次いで発表している。インド西部グジャラート州アーメダバードでは6月12日、サルダール・バッラブバーイー・パテル国際空港からロンドンのガトウィック空港に向けて離陸したエア・インディアのボーイング787-8型機が、離陸直後に空港近くの医科大学B.J.メディカル・カレッジの学生寮に墜落した。この事故により、搭乗していた乗客・乗員242人のうち1人を除く241人が死亡したほか、事故現場となった医科大学でも多くの死者が生じる大惨事となった。

これを受けて、エア・インディアは6月18日、インド民間航空総局(DGCA)の指示のもと、保有する33機のボーイング787-8/9型機に対して強化された安全点検を実施すると発表した。その後19日には、大型機であるボーイング787型機、777型機による長距離国際線について、22日にはナローボディー(単通路)機による短距離国際線、国内線について一部運休や減便を発表している。主な運休・減便路線は次のとおり。

○運休(計6路線):デリー~ナイロビ(週4便)、アムリトサル~ロンドン(週3便)、ゴア~ロンドン(週3便)、ベンガルール~シンガポール(週7便)、プネ~シンガポール(週7便)、ムンバイ~バグドグラ(週7便)

○減便(計35路線):デリー~トロント(週13便→7便)、デリー~ロンドン(週24便→22便)、デリー~パリ(週14便→12便)、デリー~羽田(週7便→6便)など

上記路線の運休・減便は、少なくとも7月15日まで継続する。自主的な飛行前の機体の安全確認強化に加え、中東情勢悪化による空域閉鎖に伴う飛行時間増加への対応を狙いとしており、直前の欠航を未然に防ぎ乗客への影響を最小限に抑える。

エア・インディアは、国内外各地に就航するインドのフラッグキャリア航空会社。1932年にインドの大手財閥タタ・グループが創業し、1953年に国営化された。ただ、1990年代半ば以降は民間企業の市場参入による競争激化で経営が悪化し、2022年1月にタタ・グループに売却され再度民営化した(2022年2月2日記事参照)。

(丸山春花)

(インド)

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