日新電機、インド首都郊外でマイクロ変電所の実証運転開始

(インド、日本)

ニューデリー発

2025年06月25日

日新電機(本社:京都市右京区)は619日、同社が開発した電源用計器用変圧器(PVT)を用いたマイクロ変電所の実証運転をインドで開始したと発表した。これに先立って前日の18日、首都ニューデリー郊外にあるタタ・パワー・デリー・ディストリビューション(タタパワーDDL)のスマートグリッドラボで運転開始式が行われた。

写真 実証運転の開始式(ジェトロ撮影)

実証運転の開始式(ジェトロ撮影)

PVTは、同社が持つ変成器の技術を応用し、特別高圧から低圧に変換して電力を供給できるよう、大容量化した計器用変圧器だ。PVTを用いることにより、大規模な変電所を設置することなく、出力容量100キロボルトアンペア(kVA)程度(50100世帯に供給可能と想定)の電力を低圧(240V)で直接、特別高圧(66kV以上)送電線から取得することが可能となる(添付資料図参照)。

写真 円柱状のPVTを含むマイクロ変電所の外観(ジェトロ撮影)

円柱状のPVTを含むマイクロ変電所の外観(ジェトロ撮影)

インドの農村部の未電化地域では、高圧送電線は通っているものの、変電所がないために電気が利用できないケースがある。従来の大型変電所の設置には、土地代や建設に多額の費用がかかるのに対し、同社のマイクロ変電所は装置や建屋が小型で、費用も抑えられることが利点だ。また、未電化地域でディーゼル発電機を使用する場合と比べても、運用コストや大気汚染物質の放出、二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる。

今回の実証試験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の一環として行われる。実施に当たり、日新電機は2024年8月にデリー地域で配電事業を展開するタタパワーDDLとプロジェクト契約を締結した。同社は、今回の実証試験で技術面・運用面のデータ収集と分析を行い、同様の課題を抱えるインドの他地域や第三国への展開につなげていく方針を示している。

(丸山春花)

(インド、日本)

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