「2025中国汽車重慶論壇」が開催、自動車メーカーは「反内巻」で一致

(中国)

成都発

2025年06月13日

中国の重慶市で6月6~7日、「2025中国汽車重慶論壇(2025中国自動車重慶フォーラム)」が開催された。この論壇には、中国自動車大手の長安汽車、賽力斯集団(セレス)、広州汽車、比亜迪(BYD)、メルセデス・ベンツなど国内外大手自動車メーカーのトップや関連の幹部らが登壇。「内巻(注1)の防止」「車両の安全性向上」「自動車メーカーの合併」などをテーマに、変革期の中国自動車産業について議論を行った。

中国国際貿易促進委員会(CCPIT)自動車産業委員会の王俠会長は冒頭のあいさつで、「中国の自動車産業は既に変革期に入っており、内巻は避けられないものの、自動車企業に長期的でネガティブな影響を及ぼす。自動車産業の持続可能な発展に悪影響を与える。特に際限のない過当な競争は企業の合理的な利潤に影響を及ぼす」と過度な競争に反対する姿勢を示した。また、「製品の品質と安全性、堅実な市場経済、長期的な発展が極めて重要であり、中国自動車メーカーは海外市場においても過当競争を繰り広げるべきではない」と主張した。

その後、長安汽車、セレス、ベンツなど各社が取り組む最新技術や新車種を紹介した。また、内巻について各社は、不当な低価格競争を脱し、持続可能な生産、開発、販売を行うとして、過度な競争に反対する姿勢を示した。

長安汽車の朱華栄董事長は、「中国自動車市場には約100社の自動車メーカーが存在しており、メーカー間の競争は非常に激しい。中国から海外へ輸出されているゼロキロ中古車(新古車、注2)は、国際市場の秩序を乱し、大きな問題になっていると指摘した。また、セレスの張興海董事長は、バッテリーの安全性、車体の安定性の重要性などを強調し、「適切な安全性をもって、車両の知能化、電動化を推進し、ユーザーエクスペリエンスを生み出す」と同社の戦略を掲げた。また、「内巻は企業のイノベーション力、製品の品質と安全性に悪影響を与え、サプライチェーンの安定性にもリスクをもたらす」と表明した。一方で、BYDの李曇飛広告宣伝部長は、「反内巻の姿勢を持ったとしても他社を告発するべきではない。自社の技術力のさらなる最適化を進め、企業間競争力を高めるべきだ」と指摘した。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 長安汽車の発表(ジェトロ撮影)

長安汽車の発表(ジェトロ撮影)

写真 論壇関連イベントの様子(ジェトロ撮影)

論壇関連イベントの様子(ジェトロ撮影)

(注1)内巻とは、過度な内部競争や業界内における悪質な競争を指す。

(注2)ゼロキロ中古車(新古車)とは、法的にはすでにナンバー登録または名義変更が完了し「中古車」として分類されているものの、実際には道路を走行しておらず、走行距離がほぼゼロの車両を指す。名目上は中古車であるため、新車よりも安価に販売され、市場に大きな影響を及ぼしている。

(王植一)

(中国)

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