次期5カ年規画の策定に関する意見募集や座談会開催が相次ぐ
(中国)
北京発
2025年06月25日
2026年以降の5年間の経済社会発展を定める計画となる「第15次5カ年規画(以下、15・5規画)」の策定に関して、5月20日からインターネット上での意見募集が行われている。
新華社によれば、人民日報、新華社
、中央広播電視総台
(CMG)の公式サイトやアプリ、教育プラットフォームの「学習強国」(注1)において「15・5規画提言」の特設ページが設けられており、意見や提案が募集されている。募集期間は1カ月間とされており、寄せられた意見や提案は整理したうえで、中央政府の政策決定の参考にするとしている。
特設ページでは、中国共産党の建設、人工知能+(AIプラス)、質の高い発展、文化強国、雇用・創業、共同富裕、ハイレベルな対外開放など27の項目のテーマに分類されており、項目ごとに意見を提出できるかたちになっている。一部の意見は閲覧することが可能となっており、集積回路、高性能CNC(コンピュータ数値制御)工作機械、大型航空機用エンジンなどのコア技術のブレークスルーに向けた取り組みを強化することや、農村における高齢者向けの娯楽施設を増設すること、新卒者のみならず社会人の就職支援を要望するなど、幅広い提案が多数寄せられている。
また、国家発展改革委員会の鄭柵潔主任は6月10日、15・5規画の策定について民営科学技術型企業との座談会を開催した。同座談会には、5社(注2)の民営企業の代表が参加し、科学技術革新と産業革新の融合、技術開発と応用シーンの融合、市場拡大と民生改善の融合をさらに重視し、科学技術革新分野における資金、人材、エネルギー、データなどへの支援を強化することが提案された。
このほか、国家体育総局や河南省鄭州市などで15・5規画に関する意見募集が相次いで実施されているなど、各部門や各地方政府が15・5規画の策定に取り組んでいる様子がうかがえる。
複数の5カ年規画の策定に参画してきた、第13期全国政治協商会議常務委員兼経済委員会副主任の楊偉民氏は、15・5規画の期間(2026~2030年)は、「2035年までに社会主義現代化を基本的に実現する(注3)うえで重要な過渡期であり、かつ2035年までに高水準の社会主義市場経済体制を完全に確立する(注4)うえでも重要な期間でもある」とし、「15・5規画を適切に策定することは、中国式現代化を実現する上で極めて重要だ」とコメントした(「中国経済時報」、4月23日)。なお、習近平国家主席は2025年4月30日、上海市で15・5規画期間の経済社会発展に関する座談会を主宰し、15・5規画策定の方向性を示した(2025年5月2日記事参照)。
(注1)中国共産党中央委員会・習近平総書記(国家主席)の講話や思想を主な内容とする教育プラットフォームで、コンテンツは政治のみならず、経済や地方に関するニュースなど多種多様にわたる。
(注2)AIと高性能コンピューティングのプラットフォームを提供する北京市の摩爾線程(MOORE THREADS)、浙江省の電子商取引(EC)大手アリババ傘下の金融部門であるアント・テクノロジー・グループ、広東省のゲノム解析大手の華大基因(BGI)、河南省の機能性ポリエステルフィルムの研究開発・生産販売を手掛ける銀金達新材料、重慶市のロボットメーカーの七騰機器人の5社。
(注3)2017年10月に開催された中国共産党第19回党大会において、2035年までに社会主義現代化を基本的に実現し、2000年代半ばまでに「社会主義現代化強国」を実現するという目標が打ち出されていた。
(注4)2024年7月に開催された中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)において、2035年までに高水準の社会主義市場経済体制を完全に確立し、国家統治体系・統治能力の現代化や、社会主義現代化を実現させることを目指すとされた(2024年7月23日記事参照)。
(張敏)
(中国)
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