モザンビークの首相が万博ナショナルデーで来日、ジェトロとビジネスフォーラムを共催
(日本、モザンビーク)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年06月18日
モザンビーク政府とジェトロは6月16日、大阪・関西万博におけるナショナルデー開催に伴うマリア・ベンビンダ・デルフィナ・レビ首相の来日を契機に、「モザンビーク・日本ビジネスフォーラム 2025」を共催した。
同首相は冒頭のあいさつで、日本は外交のみならず経済関係においてもモザンビークにとって最も重要なパートナー国の1つだと指摘した。日本がこれまでもたらした技術・経験とインフラ設備は経済の多角化と起業家によるビジネス機会の増大、それによる雇用創出や所得の増加につながっていると感謝の意を表した。その上で、日本企業には農業、鉱業、製造業などにおけるバリューチェーン強化に向けたより一層の投資に期待していると強調した。
フォーラムであいさつをするレビ首相(ジェトロ撮影)
ジル・ビレス投資輸出促進庁(APIEX)長官は、モザンビークの投資環境について説明した。同国は人口約3,200万人ながら、地理的立地や南部アフリカ開発共同体(SADC)をはじめとする自由貿易協定(FTA)によってアフリカ諸国へのゲートウェーになるほか、インド洋に面しているため中東やアジアへのアクセスが良いと強調した。また、近年、投資保護・ビジネス環境改善に向けた法整備が進展しているとして、優遇税制、査証取得の簡素化、投資受け入れワンストップ窓口の設置などの外国投資家に対する優遇策を挙げるとともに、農業、エネルギー、インフラ、鉱業、観光、漁業などの分野への投資を呼びかけた。
日本側からのプレゼンテーションでは、モザンビークの強みとビジネスを行うメリットに関する講演が相次いだ。ジェトロの仲條一哉理事は、FTAのみならず、北部のナカラ港からマラウイやザンビア、コンゴ民主共和国といった内陸国に通じる経済回廊は、円滑な貿易取引を可能とする日本企業にとっての基盤になっていると指摘した。その上で、回廊沿いにサプライチェーンの構築が進めば、日本企業のより一層の進出が期待されると述べた
つぎに、ジェトロ・アジア経済研究所の藤原雅樹研究管理課長(元ジェトロ・ヨハネスブルク事務所次長)は、日本企業の対モザンビークビジネスについて説明した。同国で活動する主な日系企業数は19社だと述べた。ジェトロが2024年9月にアンケートを実施した「海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」では、同国の投資環境面の魅力として市場規模・成長性の評価が高く、人口増加や天然ガスの開発本格化による経済成長への期待の表れとした。また、同国の規則・法令の整備、運用が進む一方、就労ビザや外貨取引など一部において日本企業にとっての投資環境面の課題が残っていると語った。
さらに、濱田圭司駐モザンビーク日本大使は、モザンビークの人口は過去10年間で約1,000万人増加し、2027年に3,600万人に達する見込みと紹介。特に15歳以下が人口の30%以上を占めるなど、市場規模のみならず、製造業に必要な労働力確保の面でも優位性があると評した。
最後に、国際協力機構(JICA)モザンビーク事務所の大塚和哉所長は、日本との経済交流においては現地ビジネス人材の育成が重要とした上で、JICAは過去20年間で1万7,000人に上るモザンビーク人材を研修生・留学生として日本に受け入れている、とした。これらの人材が母国に戻っており、日本とのビジネスの大きなアクターとなりうると語った。
フォーラム後のネットワーキング交流会の様子(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
(日本、モザンビーク)
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