イスラエルとイランの衝突に関しG7で議論、IAEAは核施設状況を監視

(中東、日本、イスラエル、イラン)

調査部中東アフリカ課

2025年06月18日

イスラエルは6月13日、イランの核施設などへの攻撃を行い(2025年6月13日参照)、これに対し、イランは同日、イスラエルへの反撃を行った。その後も攻撃の応酬が続いている。

6月16、17日にカナダで開催されたG7サミットでは、中東情勢についても議論された。外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、石破茂首相はイスラエルとイランの情勢について、「事態の沈静化に向けた外交努力の重要性」を強調した。また、イランの核兵器開発は許してはならないとし、協議を通じた核問題の解決の重要性をあらためて首脳間で確認したという。

日本とイラン外相が電話会談

岩屋毅外相は、6月16日にイランのアッバース・アラーグチー外相と電話会談を行った。外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両外相は「地域の平和と安定に向け、日本・イラン間のさまざまなレベルで、引き続き緊密に対話を行っていくこと」で一致したという。さらに、岩屋外相は在留邦人保護への協力を要請し、アラーグチー外相から全面的に協力するとの発言があったという。このほか、日本政府は6月13日、事態の沈静化を強く求めるとの声明を出している(2025年6月17日記事参照)。

国連安全保障理事会も開催

6月13日には、緊急の国連安全保障理事会も開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされていた。イラン代表は、イスラエルによる軍高官、核科学者、市民に対する「野蛮で犯罪的な攻撃」を強く非難し、また、核施設への攻撃は国際法の原則に反すると述べた。イスラエル代表は「イスラエルからの攻撃は予防的なもの」と主張した。米国代表は「米国はイスラエルの攻撃を事前に知らされていたが、軍事的には関与していなかった」としたうえで、「イランが核兵器を保有せず、中東地域の脅威とならないよう外交的解決を追求し続ける」と述べた。

なお、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6月13日、イスラエルによるイランへの攻撃を非難し、加盟国に対し「最大限の自制」を求めている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

IAEAが核施設を監視と発表

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、6月16日、IAEAがイランの核施設の状況を非常に注意深く監視していくと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、IAEAの緊急対応センターは24時間体制で稼働しており、イラン当局との継続的な連絡を通じて、イランの核施設の状況と関連施設の放射線レベルを把握しているという。イランがウランを最大60%まで濃縮したナタンツ燃料濃縮施設にも13日に攻撃があった。変電所、主電源、非常電源、バックアップ発電機を含む施設内の電力インフラも破壊されたという。電源の損失などにより遠心分離機が損傷した可能性があるが、ナタンツ施設の外部の放射能レベルは変化がなく通常レベルを維持しているとした。イラン中部のイスファハーンの核施設も攻撃を受けたが、敷地外の放射線レベルは変化していないとも述べた。

関連情報はジェトロ短信特集「イスラエル・イラン情勢に関する動向、各国の反応」を参照。

(井澤壌士)

(中東、日本、イスラエル、イラン)

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