第1四半期GDP成長率は前期比0.8%、米国向け輸出増が寄与
(スイス)
ジュネーブ発
2025年06月04日
スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は6月2日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前期比0.8%(季節、スポーツイベント調整後、注)と発表した(プレスリリース、添付資料表1参照)。2024年第4四半期の前期比0.6%に続き、高い成長率を示した。特に、サービス部門が広範な成長をもたらしたほか、化学・医薬品産業が医薬品輸出の急増に牽引され、7.5%増と加速した。
第1四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、財の輸出が前期比5.0%増となり、GDP成長率を押し上げた。特に、米国向け輸出が急増し、米国の通商政策に伴い、輸出が前倒しされた可能性が指摘されている。個人消費支出は0.2%増と緩やかな伸びとなり、特に医療費と住宅費に支えられた一方、ホテルやレストランへの支出が減少した。政府消費支出は0.4%の伸びを示した。設備・ソフトウェア投資は0.4%増で、航空機や研究開発などの経済サイクルの影響を比較的受けにくい分野によって牽引された。建設投資は0.8%増と堅調に伸びた。また、内需の増加に伴い、財・サービスの輸入は6.1%増と大幅に増加した。
産業別にみると(添付資料表2参照)、製造業は医薬品の輸出急増などにより、前期比2.1%増の力強い伸びを示した。卸売・小売業、自動車・オートバイ修理は、卸売・小売業の伸び(0.5%増)に支えられ2.1%増と、平均を上回る伸びを示した。建設業と医療・社会福祉サービス業がともに1.1%増で続いた。一方、宿泊・飲食サービス業は前期の好調な伸びから1.7%減と大きく減少、特にスイス国内宿泊施設の宿泊者数の減少が影響した。そのほか、金融・保険業(0.5%増)、ビジネス関連サービス業(0.4%増)、公共サービス(0.2%増)となり、芸術・娯楽・レクリエーション業(0.0%増)は横ばいだった。
(注)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えて、スポーツイベント調整後の数値。
(田中晋)
(スイス)
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