スイス中銀、政策金利を0.25%に引き下げ

(スイス)

ジュネーブ発

2025年03月21日

スイス中央銀行(SNB)は3月20日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、0.25%にすると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この変更は翌21日から適用された。利下げは、9年ぶりに利下げした2024年3月の会合、さらに6月の会合(2024年6月24日記事参照)、9月の会合(2024年9月27日記事参照)、12月の会合(2024年12月13日記事参照)に続いて5会合連続となった。SNBは、低インフレ圧力とインフレの下振れリスクを考慮した今回の金利引き下げにより、金融環境が引き続き適切なものになることを確保するとしている。

2024年12月の金融政策評価以降、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は予測どおりに推移しており、2024年11月の0.7%から、2025年2月には0.3%に低下した。この低下は、特に1月の電気料金の引き下げに起因していると説明した。全体的には、インフレは依然として主に国内サービスに牽引されているとした。

SNBの新たな条件付きインフレ予測は、SNBの政策金利が予測期間中を通じて0.25%との仮定のもと、2025年を0.4%、2026年を0.8%、2027年を0.8%としている。2025年は12月の予測から0.1ポイント上方修正され、2026年は変更なしで、今回2027年の予測値が追加された。

3月の金融政策評価では、SNBがここ数四半期で金融政策を大幅に緩和しており、この緩和が中期的にインフレ見通しを安定させる一助になっているとした。それにもかかわらず、世界経済やインフレの動向をめぐる不確実性は大幅に高まっており、その結果、スイスのインフレ見通しも非常に不透明な状況で、現在は主に下振れリスクがあることを示した。SNBは、引き続き状況を注意深く監視し、必要に応じて金融政策を調整し、金融環境が適切であり続けることを確保する意向を示した。

スイス経済の見通しについては、SNBは前回の予測と同様に、2025年のGDP成長率を1~1.5%と予測しており、内需は実質賃金の上昇や金融政策緩和の恩恵を受けるとの見方を示した。対照的に、海外での控えめな経済活動が対外貿易に抑制的な効果をもたらし、その結果、失業率が小幅な上昇を続けるとした。SNBは、2026年のGDP成長率については約1.5%との予測を示している。国際貿易と地政学的な不確実性の高まりを背景に、スイス経済にとって、海外情勢が引き続き主要なリスクだと分析している。

(田中晋)

(スイス)

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