エジプト新労働法、有期雇用解除には勤続1年につき給与1カ月分の退職金

(エジプト)

カイロ発

2025年06月26日

エジプト日本商工会(JBA)とジェトロは6月22日、5月に公布されたエジプト新労働法(2025年法律第14号)の解説セミナーを実施した。新労働法は9月1日から施行される。施行細則も9月までに発表される予定だ。

講師を務めた現地法律事務所によると、新法の主な変更点は添付資料のとおり(添付資料表参照)。雇用契約のアラビア語義務化について、法律はアラビア語でのみ書かれた契約書の作成を求めているが、講師は特に外国企業については、実務的には外国語併記の契約書も認められるとの見解を示した。ただし、裁判の際にはアラビア語が優先される。また、雇用契約書や人事ファイルについては、電子媒体が認められるとしているが、労働局や社会保険局での手続きでは紙の原本が求められる場合が多く、電子媒体の実効性には懸念が残ると指摘した。懲戒処分のシステムをはじめ、詳細が明らかになっていない条項もあり、施行細則の公開が待たれる。

従業員の退職や解雇についても、次のとおり、新たな規定が導入される。

  • 無断欠勤が10日連続した場合、もしくは1年以内に20日を超えた場合、当該従業員は退職したとみなされる。
  • 有期雇用契約が解除される場合、被雇用者は勤続年数1年につき給与1カ月分に相当する退職金を受け取る権利を有する。
  • 無期雇用契約の解除について、雇用者、被雇用者双方が事前予告に基づき、契約解除の権利を有する。雇用期間にかかわらず、3カ月の予告期間が必要で、十分かつ正当な理由が必要。

その他、強制労働の禁止や、職場での人種・宗教・性別などによる差別禁止、いじめやハラスメントの禁止、リモートワークやパートタイムワークなどの新たな雇用形態といった現行労働法で規定されていなかった事項が明文化された。

(塩川裕子)

(エジプト)

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