マスク氏、トランプ米政権の特別政府職員からの離職を表明
(米国)
ニューヨーク発
2025年06月02日
米国の実業家のイーロン・マスク氏は5月28日、X(旧Twitter)への投稿を通じて、自身の「特別政府職員としての任期が終了する」と明らかにした。
マスク氏は「特別政府職員としての任期が終了するに当たり、無駄な支出を削減する機会を与えてくれたドナルド・トランプ大統領に感謝する」「政府効率化省(DOGE)のミッションは、政府全体に定着するにつれ、ますます強化されていくだろう」と投稿した。
なお、特別政府職員は、連邦政府の行政機関に勤務する臨時職員として、連続する365日以内に通算130日の勤務期限が法律で規定されている。そのため、マスク氏に関しては、5月30日が1月20日から連続する130日の期限とみられていた。
トランプ大統領は1月20日に、連邦政府縮小の取り組みを遂行する臨時組織として、DOGEを大統領府に設置する大統領令を発令した(2025年1月22日記事参照)。DOGEが公表するデータ(5月26日更新)によると、これまでに資産の売却、契約の解除や再交渉、不適切な支払いの削減、助成金の拠出停止、人員削減などを通じて、推定1,750億ドルの支出を削減した。ただし、推定削減額の積算根拠資料の不完全性などから、数値の正確性を疑問視するメディア報道も複数ある。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は5月29日の記者会見で、「DOGEのミッションは確実に継続される」と述べ、マスク氏の政権離脱後も連邦政府縮小の取り組みは継続されるとの考えを示した。また、記者からマスク氏の後任は誰かと問われたのに対し、レビット報道官は明言せず、「DOGEのリーダーは、閣僚全員と、政府から無駄、不正、乱用を根絶することに全身全霊を捧げているトランプ大統領自身だ」と述べた。
マスク氏は5月27日のCBSニュースのインタビューで、トランプ氏が推進した「大きく美しい1つの法案」(2025年5月23日記事参照)に関して、「大規模な歳出法案に失望した」と述べていた。一方で、CBSニュース(5月29日)は、政権高官の「マスク氏は民間企業に復帰するにすぎず、今後もトランプ大統領の友人であり続けるだろう。その関係は『アドバイザー』とも呼べるものだ」とのコメントを紹介しており、今後も緊密な関係を維持するとの見方もある。
(葛西泰介)
(米国)
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