トランプ米政権の関税措置への判決を受け、対米貿易の信頼低下、カナダ世論調査
(カナダ、米国)
調査部米州課
2025年06月10日
米国の国際貿易裁判所(CIT)は5月にトランプ政権の追加関税を違法とする判決を下したが、連邦控訴裁が判断の一時停止を命じ、追加関税措置は継続されることになった(2025年5月30日記事参照)。最近のカナダの世論調査では、カナダと米国の貿易関係への信頼が低下したと38%が回答した。
調査会社レジェ・マーケテイングは6月5日、対米関係などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、米国CITの決定が、カナダと米国の貿易関係の将来について、信頼を高めたかという設問(注2)に対して、38%が「低下した」と回答した。「変化なし」が37%、「高まった」は16%だった。
米国の裁判所がドナルド・トランプ大統領の貿易政策に関する権限を制限しようとしているという事実については、米国の民主主義制度への「信頼が高まる」と38%、「信頼が低下する」と24%が回答した。「変化なし」は26%だった。
カーニー首相の支持率は57%
調査会社アンガスリードが6月に実施した世論調査(注3)によれば、4月の総選挙で首相に就任したマーク・カーニー氏(2025年4月30日記事参照)の支持率は57%だった。ジャスティン・トルドー前首相の就任当時(2015年12月)の支持率(63%)と比較すると6ポイント低かった。
カナダにおける最優先課題の上位5項目は、「生活費/インフレ」(55%)、「ヘルスケア」(39%)、「購入しやすい住宅」(26%)、「経済」(23%)、「関税を含む対米関係」(21%)となっている。「関税を含む対米関係」は3月の調査時(41%)から大きく低下した。
住宅がより手頃になるような効果的な政府の対策に対して、74%は「信頼できない」と回答し、「信頼できる」は21%にとどまった。
(注1)実施時期は2025年5月30日~6月1日。対象者はカナダの成人1,519人。
(注2)設問の全文は、「米国CITの決定およびトランプ大統領の関税をめぐる進行中の法廷闘争は、カナダと米国(または米国と国際社会)の貿易関係の将来について、あなたの信頼を高めたかあるいは低めたか」。
(注3)実施時期は2025年6月2~3日。対象者はカナダの成人2,072人。
(松岡智恵子)
(カナダ、米国)
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