ダナン市のドンア大学が10回目の日本ジョブフェアを開催
(ベトナム)
ハノイ発
2025年06月10日
ベトナム中部ダナン市の私立ドンア大学は5月22日、同大学キャンパスで「日本ジョブフェア2025」を開催した。第10回となる今回のジョブフェアは、開会セレモニーに日本企業21社をはじめとする日本の官民関係者が参加した。セレモニー後に実施された説明会・面接会には日本企業12社(オンライン参加を含む)とドンア大学の学生約300人が参加した。
ドンア大学は2002年に短期大学として開校したのち、2009年に私立大学となった新興の大学。同大学によると、在籍学生数は現在41学部・学科に約1万2,000人で、このうち日本言語文化学部に在籍している、または何らかの日本語の教育を受けている学生は1,000~1,500人だという(注)。
開会セレモニーのあいさつで、ドンア大学理事長のルオン・ミン・サム氏は「直近10年で、約1,000人の学生が海外でインターンや就職をしており、渡航先の8割が日本である」と述べ、日本と同大学のつながりの強さをアピールした。セレモニーでは、ドンア大学と日本の大学や企業とのMOU(覚書)が締結されたほか、日本企業が寄付した奨学金の学生への授与式が行われた。ドンア大学は、日本を対象にイベントを開催する理由を「2015年以来、本学は10年にわたって日本政府機関や日本企業との関係構築に努めてきた。本学にとって日本は戦略的なパートナーとなっており、現在は日本に渡る学生が年間で約200~250人に増えている。日本側のニーズを踏まえて、今後はさらに多くの学生派遣を目指しているため、日本に特化したかたちでジョブフェアなどのイベントを10年連続で開催している」と話す(ジェトロによるヒアリング)。
セレモニー終了後は、日本企業による企業説明会、学生との個別面接会が開催された。オンラインによる参加企業2社を加え、計12社が学生との面談を行った。参加した学生は「インターンシップの面接を受けるため、参加した。仮に日本企業と条件が合わない場合は、韓国や中国の企業へ応募することも視野に入れている」と述べた。
ベトナムの学生にとって、海外で働く際の選択肢は豊富だ。日本企業からの雇用ニーズが高まる一方、中国や韓国の企業などとの競合も生じている。そのため、海外の学生を直接採用する上では、ドンア大学のような学生の海外就職支援に意欲的な大学と中長期的な関係を構築し、奨学金やインターンシップ機会などの提供を検討することも、視野に入れるべき選択肢の1つだろう。
セレモニーでの日本企業からの奨学金授与(ジェトロ撮影)
オンラインによる企業説明会(ジェトロ撮影)
ドンア大学外観(ジェトロ撮影)
(注)ドンア大学の概要や学部構成などの詳細は、「ベトナムの地方大学と日本企業等との連携可能性に関する調査-日本との連携実績のあるベトナム主要大学および連携事例集」を参照。日本言語文化学部は2020年6月に新設された(2020年6月26日記事参照)。
(河野尭広)
(ベトナム)
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