米国のイラン核施設攻撃に対し、国連事務総長、IAEA、日本政府は対話が重要と表明
(中東、日本、イスラエル、イラン、米国、世界)
調査部中東アフリカ課
2025年06月23日
米国は、日本時間6月22日、イランにおけるフォルド、ナタンズ、イスファハンの3カ所の核関連施設に対する攻撃を実施した。
日本の外務省は6月23日、「米国によるイラン核施設に対する攻撃(外務大臣談話)」として、「我が国として引き続き重大な関心を持って状況の推移を注視」しているとした。「6月13日のイスラエルによるイランに対する攻撃、およびその後のイランによるイスラエルに対する攻撃以降、報復の応酬に至っていることは極めて遺憾」であり、「イランから米国権益に対する攻撃も示唆されていることも深刻に懸念」していると発表した。「事態を早期に沈静化することが何よりもまず、極めて重要」との意向を示した。あわせて、「米国とイランの協議を通じたイラン核問題の解決に向けた努力によって対話の道が再開されることを引き続き強く望む」と発表した。
国連は6月22日、安全保障理事会の緊急会合を開催した。この中で、アントニオ・グテーレス事務総長は「米国がイランの核施設に対して行った大規模攻撃は、より広範な戦争のリスクと国際秩序への深刻な損害を高める」と述べ、外交が優先されなければならないと表明した。
ミロスラフ・イェンチャ政治担当事務次長は、イエメンのフーシ派など武装勢力からの脅威の高まりを指摘し、「これらの組織からの報復によって紛争が拡大する可能性がある」と警告した。また、「イラン議会が重要貿易ルートであるホルムズ海峡の閉鎖を支持する声を上げている」と指摘した。
なお、ホルムズ海峡が重要なチョークポイントであり、日本はホルムズ海峡を通って原油を輸入し、自動車を輸出している(2025年6月19日記事参照)
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は6月20日、「イスラエルと米国によるイランの核施設への軍事攻撃によって安全性が著しく損なわれており、状況が悪化すれば深刻なリスクをもたらす可能性がある」と警告した。さらに、対話を閉ざせば、世界の核不拡散体制が崩壊すると指摘した。また、「ナタンズにあるウラン濃縮施設が、電力インフラやウランを保管する地下室などに大きな被害を受けたことを確認」したという。
関連情報は特集「イスラエル・イラン情勢に関する動向、各国の反応」を参照。
(井澤壌士)
(中東、日本、イスラエル、イラン、米国、世界)
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