リオでコンテンツ見本市「Rio2C」開催、日本発IPに可能性
(ブラジル)
サンパウロ発
2025年06月16日
ブラジルのリオデジャネイロ市で5月27日~6月1日、映像や音楽などのコンテンツ見本市「Rio2C」が開催された。文化振興に力を入れるブラジルの国営石油大手ペトロブラスとリオデジャネイロ州政府が主催した。開催期間6日間のうち、BtoB向けは4日間、BtoC向けは2日間開催された。
見本市では、企業によるブース出展や、有識者によるFAST(注1)が行われたほか、クリエーターエコノミー、音楽、ゲーム、ファッションといったコンテンツ産業の特定のテーマについて、カンファレンスやクリエーターによるピッチ、制作会社と配給会社の商談会などが行われた。国外からはNetflix、Amazon、Disney、Samsung、Spotifyなどが参加した。主催者の発表によると、39カ国130人の国外関係者を含む2,088人がカンファレンスなどのイベントに参加した。来場者数は約5万5,000人だった。
盛況だった見本市の会場(ジェトロ撮影)
会場内では、アジアコンテンツの可能性に関するカンファレンスが開催された。ブラジルで長年、日本コンテンツの配給や配信などを行っているサトウ・カンパニーのネルソン・アキラ・サトウ社長、中国とアニメの共同制作を行っているブラジルの制作会社アモリン・フィルミズのジョアン・アモリム・ディレクター、2025年2月にブラジルに新規事務所を開設した韓国コンテンツ振興院(KOCCA)のイサベル・チョン事業部長の3人が登壇した。同カンファレンスでは、ブラジルでの日中韓コンテンツの可能性について、パネルディスカッションが行われた。サトウ氏は2025年にブラジルで劇場公開を行う劇場版「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」や、同年に開催予定のスタジオジブリ作品の映画祭のPRも行い、来場者の注目を集めた。
コンテンツIPの可能性に関するカンファレンスでは、スイスのコンテンツ専門メディア・リサーチ会社ザ・ウィットのバージニア・マウセラー最高経営責任者(CEO)が登壇し、国や文化の違いを超えて視聴者が楽しめ、将来的にヒットする可能性があるバラエティー番組のフォーマットとして、英国の大手テレビ制作・配信会社フレマントルからグローバル配給の権利を取得した日本のテレビ制作会社がつくるバラエティー番組「ANTS~ぜんぶ運べば一攫千金」のフォーマットを紹介するなど、日本発IP(注2)が会場内で存在感をみせた。
(左)サトウ社長によるプレゼンテーション、(右)コンテンツIPの可能性に関するカンファレンス(ともにジェトロ撮影)
ジェトロも、コンテンツ海外展開支援拠点事業(注3)の一環として、会場にブースを出展し、海外バイヤー向けのBtoBオンラインカタログサイト「Japan Street」の広報活動や、ブラジルの地上波放送局や映画配給会社との面談を通して、日本発IPのプロモーションを実施した(注4)。
ジェトロのブース(ジェトロ撮影)
(注1)Free Ad-supported Streaming TVの略。無料かつ広告付きのストリーミングTVで、近年成長しているコンテンツ配信形態。
(注2)IPは、Intellectual Property(知的財産)の略。創作物やブランドの権利のこと。
(注3)ジェトロの「コンテンツ海外展開支援拠点事業」とは、日本のコンテンツ事業者にとって販路拡大が見込める国・地域に所在するジェトロ事務所に、現地のコンテンツ産業・市場に知見を持つスタッフや専門家を配置し、「情報収集・情報提供・相談対応」「ネットワーク構築・マッチング支援」「日本コンテンツのプロモーション支援」を軸に、日本のコンテンツ事業者の海外展開・進出を支援する取組み。2024年度にロサンゼルス(米国)、バンコク(タイ)、ニューデリー(インド)に設置し、2025年度にはサンパウロ(ブラジル)、パリ(フランス)、上海(中国)、ソウル(韓国)に増設。
(注4)ジェトロブースには、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、米国などからのバイヤーが訪問した。来訪したバイヤーからは、食、恋愛、ゲームなどのリアリティーやバラエティー番組フォーマット販売の可能性や、海外の映画祭で話題になった日本の実写映画、南米で人気が高まっている日本のアニメ作品など、幅広い分野で問合せがあった。ブラジルでの日本アニメ人気についての詳細は、ジェトロの調査レポート『アニメ関連サービス・商品に関するブラジル市場レポート(2025年3月)』を参照。
(伊藤優一)
(ブラジル)
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