2025年第1四半期のGDP成長率は前期比0.1%
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2025年06月09日
南アフリカ共和国統計局(Stats SA)は6月3日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(季節調整済み)が前期比0.1%と発表した(添付資料表1参照)。2024年第4四半期(10~12月)の成長率は下方修正の0.4%となり、2024年の年間成長率も0.1ポイント減の0.5%に修正された。
2025年第1四半期の実質GDP成長率を産業別にみると、生産(供給面)では10産業のうち4産業がプラス成長だった。農業(15.8%増)、運輸(2.4%増)、卸小売業(0.5%増)、金融(0.2%増)がプラスで、特に農業は第1四半期の経済成長を牽引し、GDP成長率に0.4ポイント寄与した。第1四半期は、降雨量に恵まれた雨期だったことから園芸作物と畜産物の生産が好調だった。一方、南アの主要産業である鉱業は4.1%減、製造業も2%減とマイナスに終わった。鉱業では、プラチナの生産減の影響が最も大きかったが、石炭、クロム鉱石、金、銅、ニッケルも想定ほど振るわなかった。製造業では、石油・化学製品、食品・飲料、輸送機器の生産減を背景に減速した。また、2025年1月31日には、310日ぶりに計画停電が行われるなど(2025年2月10日記事参照)、電気、ガス・水道部門では2.6%減となり、2022年第3四半期(2.8%減)以来の低水準だった。
支出(需要)面では、在庫の減少、輸出、家計消費がプラスだったが、総固定資本形成、政府消費支出が成長を抑制した(添付資料表2参照)。
南ア金融大手のネドバンクの発表では、「当社が予測していたGDP成長率0%をやや上回った」と述べた。一方、今後の見通しでは、2025年の残りの四半期の経済は上向きだとし、インフレ抑制、低金利により、消費者需要が経済を押し上げると分析した。ただし、政府支出の低水準、不十分な固定投資に加え、世界的な成長鈍化、商品価格の低迷、政策の不確実性が続くことによる貿易の弱体化を懸念した。ネドバンクは、2025年のGDP成長率を、南アフリカ準備銀行(中央銀行)が予測する1.2%より低い、1.0%になるとしている。
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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