10カ月ぶりに計画停電が発生

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2025年02月10日

南アフリカ共和国の電力公社エスコムは1月31日、計画停電の実施を発表し、同日午後5時から2日午前6時まで、ステージ3(注1)の計画停電を実行した。約10カ月ぶりの計画停電で、複数の発電所の故障と緊急予備電力の枯渇が原因だった。

コシエンソ・ラモホパ電力・エネルギー相は31日午後、計画停電に関して緊急のメディアブリーフィングを行い、2カ所の石炭火力発電所の幾つかのユニットが同時に故障し、計画的なメンテナンスのために停止していたユニットの復旧が遅れ、開放サイクルガスタービン(OCGT)用のディーゼル燃料も使い果たしたと説明した。

エスコムは2月2日、修復作業をしていた5カ所の発電所のユニットの再稼働などにより、安定的な電力供給にめどがたったと報告し、6日時点では追加の計画停電は延期されている。

エスコムは夏季(注2)の電力見通しについて、2024年の8月頃に発表しているが、それから大きな変更はないと説明し、計画外の停電が1万4,000メガワット(MW)に達した場合はステージ1(注1)、1万5,000MWに達した場合はステージ2(注1)の計画停電を実施する可能性があると発表した。2024年4月1日から2025年1月30日までの平均停止量は1万2,087MWで、計画停電域を下回っていた。また、夜間のピーク電力需要予測2万4,456MWに対して、現在の通常の供給能力は2万7,957MWあるため、エスコムは、国内の電力需要を引き続き賄うことができているとする。ただし、想定できない違法な接続や、インフラの破壊・盗難などにより、ネットワークの過負荷も大きな問題となっていると注意喚をした。

エスコムの最新の発表によると、南アのエネルギー利用率(EAF)は、レビュー期間中(2024年4月から9月30日まで)に62.97%まで増加し、2023年9月の55.27%を上回った。計画外の故障や損失(UCLF)も、約4,000MW減の25.6%に低下した(前期間34.24%)。

(注1)ステージについては次のとおり。

  • ステージ3:4日間で最大9回、1度に2時間、または8日間で最大9回、1度に4時間の停電が予想される。
  • ステージ2:4日間で最大6回、1度に2時間、または8日間で最大6回、1度に4時間の停電が予想される。
  • ステージ1:4日間で最大3回、1度に2時間、または8日間で最大3回、1度に4時間の停電が予想される。

(注2)南アは南半球にあるため、夏季は12月から3月までの期間を指す。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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