中国、5月の対米貿易は輸出入ともに前月比2桁減
(中国、米国)
北京発
2025年06月19日
中国海関総署(中国税関)の6月9日の発表によると、2025年5月単月の貿易総額は前月比1.1%減の5,290億ドルとなった。輸出額は0.2%増の3,161億ドル、輸入額は2.9%減の2,129億ドル、貿易収支は1,032億ドルの黒字だった(添付資料表参照、注1)。なお、5月単月の輸出入貨物量は合計で前月比0.8%減となった。そのうち、輸出は0.2%増、輸入は0.4%減だった。
主要な貿易相手国・地域別に5月単月の貿易額の前月比をみると、輸出では、2位のEUが6.0%増となった一方で、1位のASEANと3位の米国はそれぞれ3.3%減、12.7%減となった。輸入では、7位のブラジルが45%増と大幅に増加したほか、2位のEUは14.2%増と2桁増になった。1位のASEANと3位の台湾はそれぞれ5.8%減、2.2%減となった。8位の米国は14.0%減と2桁減だった。なお、日本との貿易は輸出が1.7%減、輸入が10.9%減と輸出入ともに減少した。
米国のシェア(構成比)をみると、貿易総額では4月の8.5%から5月は7.5%へ低下、米国向け輸出は4月の10.5%から5月は9.1%に低下、米国からの輸入は4月の5.7%から5月は5.1%へと低下した。なお、米国による中国への相互関税が米国東部時間4月9日午前0時1分から、中国による米国への関税引き上げが中国時間4月10日午後0時1分からそれぞれ適用されたが、ジュネーブ合意により両国が相互に賦課した追加関税の一部は5月14日から停止・取り消されている(注2、双方における関税措置の詳細は特集:米国関税措置への対応を参照)。
中国の5月単月の貿易額(全世界向け)を主要品目別にみると、輸出は肥料が前月比27.3%増と増加したほか、衣類および衣類付属品が17.0%増、穀物が14.7%増となった。他方、船舶が26.7%減とブレーキがかかったほか、レアアース(13.7%減)、製品油(12.2%減)が2桁減だった。輸入では、大豆が前月比1.3倍となったほか、ドライフルーツ・生鮮果実およびナッツ(93.6%増)、穀物(88.8%増)が大幅に増加した。一方、航空機(注3)が67.8%減と減少したほか、工作機械(17.4%減)、銅鉱およびその精鉱(16.8%減)などが2桁減少となった。
中国商務部は6月12日の記者会見で、中国の1~5月の貿易総額について、「一帯一路」構想参加国向けが前年同期比4.2%増、ASEAN向けが9.1%増、アフリカ向けが12.4%増となり、輸出市場の多角化が進み、新興市場による貢献がさらに増大しているとした。
(注1)5月単月のドル建て貿易総額は前年同月比1.3%増、輸出額は4.8%増、輸入額は3.4%減。元建て貿易総額は前年同月比2.7%増、輸出額が6.3%増、輸入額が2.1%減。1~5月のドル建て貿易総額は前年同期比1.3%増、輸出額は6.0%増、輸入額は4.9%減。
(注2)ジュネーブ合意後、米国は中国に対する10%のベースライン関税の適用を維持し、中国は米国に対する10%の追加関税の適用を維持するとした。そのほか、米国のフェンタニルの問題に起因する対中追加関税・301条対中追加関税について、2025年6月3日記事を参照。
(注3)非積載状態の重量が2トンを超える航空機を指す。
(蔣春霞)
(中国、米国)
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