ドイツ、対ロシア輸入が2021年比で94.6%減
(ドイツ、EU、ロシア)
デュッセルドルフ発
2025年06月23日
ドイツ連邦統計局は6月11日、2024年の対ロシア貿易統計データを発表した(プレスリリース、ドイツ語)。同発表によると、2024年のロシアからの輸入額は18億ユーロにとどまり、ウクライナ侵攻前の2021年の331億ユーロと比べ94.6%の大幅減となった。
2024年のロシアからドイツへの主な輸入品目は、金属類(輸入総額の42.3%)、化学製品(24.7%)、食料品および飼料(15.2%)だった。これに対し、2021年の品目別の輸入構成をみると、原油・天然ガスが195億ユーロで輸入総額の58.8%を占め、金属類が輸入総額の13.5%、石炭製品および鉱油製品が8.3%と続いていた。EUは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、対ロシア制裁(2022年9月1日付地域・分析レポート参照)の下で、ロシア産エネルギー依存からの脱却を進めており(2025年5月9日記事参照)、関連品目の輸入は大きく減少した。
一方、ドイツからロシアへの輸出をみると、2024年は76億ユーロで、2021年と比較して71.6%の減少となった。2021年のロシアへの輸出品目の動向をみると、当時は機械が輸出全体の21.9%を占めており、自動車・部品(16.5%)、化学製品(11.4%)が続いていた。2024年の主要輸出品目は、医薬品および類似品(30.6%)、化学製品(13.9%)、機械類(11.9%)となっており、特に機械類の減少が顕著だった。石油・天然ガスの輸入がほぼ完全に途絶した結果、2024年の対ロシアの貿易収支は58億ユーロの黒字となり、2021年および2022年と比較して大きな変化がみられた(2021年は65億ユーロの赤字、2022年は219億ユーロの赤字)。
なお、EU全体でみると、同様にロシアからの輸入は大幅な減少が見られる。ドイツ連邦統計局によれば、EUの2024年の対ロシアの輸入額は360億ユーロで、2021年比で78.0%減、輸出額は316億ユーロで64.6%減となった。貿易収支をみると、2024年時点でもEUは、ハンガリー、スロバキア、フランスといった加盟国を中心に引き続きロシアから石油または天然ガスを輸入しており、約44億ユーロの赤字が発生している。ただし、輸入減を受け、貿易赤字は縮小した(2021年は744億ユーロ、2022年は1,475億ユーロの赤字)。
(マリナ・プタキドウ、福井崇泰)
(ドイツ、EU、ロシア)
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