州別競争力指数発表、プラン・メキシコに沿った政策提言も
(メキシコ)
メキシコ発
2025年06月13日
非営利組織のメキシコ競争力研究所(IMCO)は6月9日、州別競争力指数を発表した。この指数は、「イノベーション・経済」「インフラ」「労働市場」「社会・環境」「法治」「政治体制・政府」の6分野、合計53項目を基に、国内全32州の強み・課題などを分析したもの。同指数1位のメキシコ市は、「イノベーション・経済」「インフラ」「社会・環境」「政治体制・政府」の4分野で首位を獲得した。2位の南バハカリフォルニア州、3位のヌエボレオン州は「労働市場」でそれぞれ首位、3位に位置した。4位のハリスコ州は「イノベーション・経済」で2位に付けた。
全32州を競争力指数に応じて6段階に分けた際、メキシコ市のみが「非常に高い」、続く3州は「高い」に分類された。続く12州(注1)が「やや高い」、さらに続く12州(注2)は「やや低い」だった。「低い」と判定された3州(ミチョアカン州、オアハカ州、ゲレロ州)および「非常に低い」となったチアパス州はいずれも南部に位置しており、南部諸州の競争力の相対的な低さが目立つ結果となった。添付資料表で、国内地域ごとの強み・課題についてまとめている。
今回の調査で前年から大きく順位を上げたのは、イダルゴ州(11ランク上昇の14位)、グアナファト州(9ランク上昇の13位)、サンルイスポトシ州(6ランク上昇の12位)、ハリスコ州(6ランク上昇の4位)で、いずれも「イノベーション・経済」での順位上昇が見られた。他方で、前年から大きく順位を落としたのは、カンペチェ州(8ランク低下の19位)とキンタナロー州(6ランク低下の21位)で、それぞれ「社会・環境」「法治」での順位下落となった。
「プラン・メキシコ」推進のための提言も
今回の州別競争力指数調査では、各地域の特性とニーズに基づいた経済開発を促進する具体的な公共政策が不可欠だとした上で、クラウディア・シェインバウム政権が掲げる経済開発計画「プラン・メキシコ」(2025年1月17日記事、2025年4月11日記事参照)に関連する提言も含まれた。主な提言は次のとおり。
- 知識・技術移転のため大学・研究機関・企業・自治体など関係団体間の連携促進
- 航空貨物輸送能力の高い地域における補完的なインフラ(物流センター、工業団地など)への投資
- 物流の要衝における州警察部隊の強化
- 非正規雇用率の高い州におけるデジタルスキル研修の促進
- 州レベルでのエネルギー効率化プログラムの推進
(注1)5位から16位まで順に、アグアスカリエンテス州、ケレタロ州、コアウィラ州、チワワ州、ソノラ州、ユカタン州、バハカリフォルニア州、サンルイスポトシ州、グアナファト州、イダルゴ州、タマウリパス州、シナロア州。
(注2)17位から28位まで順に、トラスカラ州、コリマ州、カンペチェ州、ドゥランゴ州、キンタナロー州、ナヤリット州、メキシコ州、プエブラ州、タバスコ州、ベラクルス州、モレロス州、サカテカス州。
(深澤竜太)
(メキシコ)
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