第1四半期の社会情勢の展望を公表
(タイ)
バンコク発
2025年06月12日
タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は6月9日、2025年第1四半期(1~3月)の社会情勢の展望報告を公表した。
同四半期の就業者数は前年同期比0.5%減の3,940万人だった。農業従事者が同3.1%減となったことが主な要因だ。他方で、非農業部門は0.5%増だった。失業率は0.88%と前年同期(1.01%)から低下し、失業者数は約36万人となった。準失業者(注)は前年比14.6%増と大幅に増加し、430万人以上に達している。
NESDCは動向を注視すべき課題として中小企業の存続を挙げ、競争力を高めるために、イノベーションとテクノロジーを導入する機会を増やせるような資金へのアクセスを高めるべきとした。そのほか、不祥事なく解雇された従業員が適切な補償を受けられるような措置を検討・実施すべきとしている。
さらに、2024年第4四半期(10~12月)の家計債務残高は前年同期比0.2%増の16兆4,200億バーツ(約72兆2,480億円、1バーツ=約4.4円)となり、伸びは緩やかだった。主に商業銀行の融資基準の厳格化により、家計債務残高の対GDP比は88.4%で、前年同期の88.9%から低下した。しかし、個人向け不良債権は1兆2,200億バーツに達し、貸出金総額の8.94%と前年同期(8.78%)から上昇している。
NESDCは、家計債務問題に関して注意すべき主な問題として、タイ人のぜいたく消費への傾向を挙げている。タイの国立大学のマヒドン大学による調査では、タイ人の3分の1がぜいたく品や高級サービスを定期的に消費しており、負債サイクルに陥りやすいとした。
(注)準失業者とは、農業部門で週20時間未満、非農業部門で週24時間未満しか労働しない人々のこと。
(藤田豊)
(タイ)
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