カンボジアのフン・マネット首相が訪日、投資拡大を呼びかけ
(カンボジア、日本)
調査部アジア大洋州課
2025年06月12日
ジェトロなどは5月29日、カンボジアのフン・マネット首相を迎え、東京都内で「日カンボジア・ビジネスフォーラム」を開催した(注)。企業交流会やカンボジア進出日系企業によるパネルディスカッション(2025年6月12日記事参照)の後、フン・マネット首相が登壇し、日本企業にカンボジアへの投資拡大を呼びかけた。同フォーラムには、日本側から約200人、カンボジア側から約150人が参加した。
基調講演でフン・マネット首相は「日本とは信頼に基づく関係が築かれている」とし、世界情勢の不確実性が増す中、日本とカンボジアが手を取り合う重要性を訴えた。また、カンボジアの投資環境上の魅力として、長期投資に適した政治と経済成長の安定性、若い人材、税制優遇策のほか、ビジネス環境改善に向けた政府の取り組みを紹介した。進出日本企業との間では、日カンボジア官民合同会議を年に2回開催し、企業の声を聞いて課題解決に取り組んでいると強調した。
また、同首相はカンボジアへの投資は広範な市場へのアクセスになるとし、「カンボジア単体での人口規模は大きくないが、ASEANの枠組みや地域的な包括的経済連携(RCEP)協定、中国や韓国などとの自由貿易協定(FTA)を通じて、何倍もの市場にアクセスできる」と話した。
講演するフン・マネット首相(ジェトロ撮影)
主催者あいさつで登壇したジェトロの石黒憲彦理事長は「フン・マネット首相のリーダーシップの下、2024年7月に特別税務監査ユニットが設立され、日系企業の問題が早期に解決された」と話し、継続的なビジネス環境の改善に期待を示した。また、カンボジア商工会議所会頭兼ASEANビジネス諮問委員会カンボジア代表のキット・メン氏は、日本とカンボジアには補完性があるとし、「カンボジアが日本企業に提供できるのは、高成長と活気ある市場、若くてスキルの高い人材、戦略的な立地を生かした広大な市場へのアクセス、安定したドル取引可能な市場だ」と話した。
歓迎のあいさつで登壇した経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)の小見山康二氏は、カンボジア開発評議会(CDC)がジャパンデスクに省庁横断で企業進出をサポートする「Business Co-Creation Team」(BCT)の開設に対して、経済産業省として協力していくと話した。
日本企業の投資支援へ、MOC交換
同フォーラムでは、2件の覚書(MOC)交換式も行われた。ジェトロとカンボジア商工会議所は、日本とカンボジアのビジネス交流を促進するための覚書を更新した。今後、両機関の有するネットワークを通じて、ミッション派遣やビジネスマッチングなどを実施する。
また、経済産業省とCDCは新たな覚書にも署名し、日本企業のカンボジア投資促進のために設置される省庁横断のBCTに対する支援や、投資促進のためのセミナーなどを実施していく予定だ。
(注)主催者は、ジェトロ、カンボジア商工会議所、日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)、みずほ銀行。
(庄浩充)
(カンボジア、日本)
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