タイ商業・工業・銀行合同常設委員会、2025年GDP見通しを1.5~2.0%に下方修正
(タイ)
バンコク発
2025年06月12日
タイの主要経済3団体で組織するタイ商業・工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)は6月4日、経済情勢に関する会合で、2025年のGDP見通しを1.5~2.0%とし、前月時点の見通し2.0~2.2%(2025年5月14日記事参照)から下方修正した。また、輸出の成長率もマイナス0.5~0.3%(同0.3~0.9%)に下方修正した。インフレ率見通しは0.5~1.0%に据え置いた。
JSCCIBはタイと米国の関税交渉や地政学的リスクの懸念を表明した。特に、世界経済の不確実性がタイ経済に影響を与えており、2025年上半期の経済成長率は前年同期比3.0%と見込まれるものの、下半期は1%未満にとどまる可能性があると指摘した。2%の経済成長率を達成するため、効果的な景気刺激策を実施する必要があり、1,570億バーツ(約6,908億円、1バーツ=約4.4円)の景気刺激策予算(2025年5月26日記事参照)のうち、少なくとも70%の予算について執行を加速するよう求めている。また、中国人観光客の減少の影響を補うため、足元で拡大傾向にある長距離旅行者市場の取り込みの重要性も強調した。
さらに、JSCCIBは政府に対し、原産地偽装や部品の現地調達率が低い再輸出の増加について、懸念を表明した。輸入製品が国内産業に与える影響を抑えるため、原産地偽装の防止や規格外輸入品の検査強化などの措置を求めている。
加えて、企業の負担軽減策として、電力保証金の引き下げを提案した。電力料金を期限どおりに支払う中規模・大規模事業者やホテル、賃貸業を対象に、保証金を現行(過去1年間の平均電気料金の0.8倍)から0.5倍に引き下げることを提案した。
(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)
(タイ)
ビジネス短信 7601f409a5472779