与党連合の大統領選予備選挙でハラ前労働・社会保障相が勝利
(チリ)
調査部米州課
2025年06月30日
チリの与党連合「チリのための団結(Unidad por Chile)」は6月29日、11月16日に実施される大統領選挙の候補者を選出するための予備選挙を実施した。予備選挙には4人の候補者が立候補し、チリ共産党(PCCH)のジャネット・ハラ氏が得票率60.16%(開票率99.84%時点)で選出された。予備選挙にはほかに、民主主義のための党(PPD)からカロリーナ・トア前内相も立候補していた。5月時点の世論調査では、トア氏の支持率がハラ氏を上回っていたが(2025年5月20日記事参照)、結果的にトア氏の得票率は28.07%にとどまり、ハラ氏が大差で勝利した。
ハラ氏はこれまで労働や社会保障の分野で要職を務めてきた。バチェレ政権下の2016~2018年に社会保障次官、ボリッチ政権下では発足から2025年4月まで労働・社会保障相を務めていたが、大統領選立候補のため辞任した(2025年4月10日記事参照)。ハラ氏は予備選勝利後の演説で、公約として最低賃金(注)を月額75万ペソ(約11万2,500円、1ペソ=約0.15円)に引き上げると述べた。そのほかにも、法定労働時間の短縮や労働組合の保護、富裕層への課税強化など、労働者寄りの公約が目立つ。
11月の大統領選には有力候補者として既に中道右派の野党連合チレ・バモス(Chile Vamos)からエブリン・マテイ氏、右派に属する共和党(PRCH)からホセ・アントニオ・カスト氏などの立候補が決まっている。大統領選候補者の登録締め切りは8月18日で、それまでにそのほかの政党からの候補者も出そろうことになる。
(注)チリの現在の最低賃金は52万9,000ペソ。
(佐藤輝美)
(チリ)
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