米西海岸の貨物量は4月も堅調に推移するも、船便キャンセルなどもあり、今後は減少見込み
(米国)
ロサンゼルス発
2025年05月21日
米国のロサンゼルス港は5月19日、4月の貨物取扱量(注)を発表した。同月の取扱量は84万2,806TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、前年同月比9.4%増加した。また、1~4月の取扱量は前年の同期間と比べて6.2%増加し、同港の貨物取扱量は10カ月連続で前年同月比増を記録するなど、取扱量は堅調に推移している。
同港のジーン・セロカ事務局長は取扱量が堅調に推移している背景について、「当初は好調な経済と消費者の高い信頼感が成長を牽引したが、最近では輸入業者が関税引き上げに先立って、貨物輸入を前倒しにしようとしている」と述べており、今後は「少なくとも短期的には、関税引き上げと不確実性の高まりの中で、世界貿易は軟化するだろう」と予想している。
一方、「デーリー・ブリーズ」紙(電子版5月19日)によると、5月に入港予定だった80便のうち17便が既にキャンセルされており、6月も10便がキャンセルとなっている。中国原産品に対する関税措置の一部が引き下げられたことを受け(2025年5月13日記事参照)、セロカ氏は「特に中国からの予約は増加するだろう」と述べるなど、一部の予約は回復し始めると予想されるが、状況は流動的だ。
ロサンゼルス港に隣接するロングビーチ港は5月15日に4月の貨物取扱量を発表している。4月としては過去最高の取扱量を記録し、11カ月連続で取扱量が増加しているなど、ロサンゼルス港同様に、堅調に推移している。しかし、同港のマリオ・コルデロ最高経営責任者(CEO)は、5月の輸入量は10%以上減少すると予想しており、「消費者はまもなく店頭での選択肢が減り、商品価格は上昇し、不確実性が続く中で雇用市場にも影響が出る可能性がある」と述べている。
(注)貨物輸入量と貨物輸出量と空コンテナ取扱量の合計値
(堀永卓弘)
(米国)
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