イランの最高指導者と大統領が声明、空域閉鎖も南部の港は通常どおり稼働
(イラン、イスラエル、米国)
調査部中東アフリカ課
2025年06月17日
イスラエルが6月13日、イランの核施設に対して先制攻撃を行い(2025年6月13日記事参照)、イランでは軍関係者のほか、民間人にも被害が出た(2025年6月13日記事参照)。イランも同日、イスラエルに対してドローンでの反撃を行い、14日、15日と両国の攻撃の応酬が続いた。イランでは核施設、核技術研究者や軍関係者への被害が確認された(2025年6月16日記事参照)ほか、イスラエル側でも被害が報じられた。
イランのアリー・ハーメネイー最高指導者は15日、「イスラエルの体制に決定的で強力な打撃を与える。イランの独立と領土保全、体制の維持を図る」と表明した(6月15日付最高指導者オフィス)。
翌16日にはイランのマースード・ペゼシュキヤーン大統領も声明を発表し、イランから攻撃は始めておらず、「イランはいつでもイスラエルを攻撃できる」と、イランのミサイル能力などを強調した。また、イラン大統領府の報道によると、同大統領は地域における米国の行動を批判する一方、他の地域諸国はイランを支持しているとし、地域で団結していく方針を示した。また、「イランは最高指導者の意向に基づき、交渉と対話を一度も放棄したことはない」と、現在進行中の米国との間接協議についても言及した(6月16日付イラン大統領府)。
イランのアッバース・アラーグチー外相も声明を同日発表し、「イランのイスラエルへの攻撃は自衛と対抗措置であり、イランは紛争の拡大は望んでいない。イスラエルが攻撃をやめれば、イランも攻撃しない」と述べた。また、「紛争をペルシャ湾まで拡大することは、地域だけでなく、世界を巻き込む可能性がある」と指摘した(6月16日付イラン外務省)。
イラン民間航空局(CAA)は現地時間6月17日午後2時までイラン空域を閉鎖すると発表した。CAAは、この閉鎖は状況が正常に戻るまで継続されるとし、国民に空港への立ち入りを控えるよう促している〔6月17日付イスラーム共和国通信(IRNA)
〕。ほかにも、16日のIRNAによると、イラン南部ホルモズガーン州のバンダル・アッバースとバンダル・シャヒード・ラジャーイーの貨物ターミナルは通常どおり稼働しており、同州の全ての輸送ルートは滞りがないという。IRNAは両ターミナルでは輸出と輸入の手続きが進行しているとしている(6月16日付IRNA
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(加藤皓人)
(イラン、イスラエル、米国)
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