総選挙は2026年4月上旬に実施へ、ユヌス首席顧問が表明
(バングラデシュ)
ダッカ発
2025年06月09日
バングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問は6月6日、国民に向けて演説を行い、次期総選挙を2026年4月上旬に実施すると発表した。ユヌス首席顧問は2024年12月に、2025年末から2026年半ばに実施すると表明しており、今回の演説でより具体的な期日に言及したかたちだ(2024年12月25日記事参照)。
ユヌス首席顧問は、イスラム教の犠牲祭を祝う演説の中で、次期総選挙の実施時期について「歴史上最も自由で公正かつ競争的で受け入れ可能な選挙を実施すべく、全政党と協議を重ねてきた。また、これは司法や選挙に関する現在進行中の改革を検討した結果だ」と述べたほか、「できるだけ多くの有権者、候補者、政党が参加することを望んでいる。15年の時を経て、真に国民を代表する議会が設立されるだろう。多くの若者が人生で初めて投票の機会を得ることになる」などと付け加えた(注)。
これに対し、前政権時の野党バングラデシュ民族主義党(BNP)のミルザ・ファクルル・イスラム・アラムギール幹事長は「われわれは常に迅速な選挙を求め、12月までの実施を期待してきた。今回の発表は間違いなく、BNPだけでなく国民全体を落胆させるものだ」と語った(「ダッカ・トリビューン」紙6月7日)。他方、2025年2月に学生が主導して設立した国民市民党(NCP)のアクテル・ホッセン幹事は、「主要な改革が事前に確実に行われるのであれば、2026年4月までの総選挙の実施に反対しない」と発言し、条件付きながら好意的な反応を示した(「デーリー・スター」紙6月6日)。
なお、シェイク・ハシナ前首相が率いたアワミ連盟(AL)は5月10日、暫定政権によって政治活動を禁止された。これに対して、同党は5月30日にあらためて発表した声明の中で、「ユヌス氏一派は違法に国家権力を掌握している。民主主義を求める思いを体現するアワミ連盟は、国民の権利を守るために闘いを続ける」と表明し、暫定政権の対応を強く批判している。
(注)ハシナ前首相は2009年から約15年にわたる長期政権を率いたが、選挙が不正に行われていると指摘を受けることがあった。
(片岡一生)
(バングラデシュ)
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